パオパオパ。
朝の風で季節の移ろいを感じ、風流を気取っている場合ではない・・・。
お日さまが昇ればまだまだ暑いし、セミの賑やかな声は今、まさに真っ盛りだ・・・。
もうちょっとだけいいかい?
夏を慈しみながら過ごしてもいいかい?
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仕事場に入り、僕はラジオのスイッチを入れる・・・。
もちろん!エネ・エイチ・ケイさ・・・。
そうだよ、まだまだ神戸の甲子園は熱い!
連日のように素晴らしいゲームが続いているぜ・・・。
カキーン!なのだ、ただひたすらにカキーン!の青春なのだ・・・。
これでイイのだ。
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ひとつのゲームが終わる度に僕は、
仕事場を出て居間に移動しテレビのスイッチを入れ、
負けた側の少年たちの背中に向けて言葉を贈り続けている・・・。
いいかい?絶対に忘れるな!
敗れたんじゃない。
ひとつのゲームに負けただけだ。
君は敗れてなんかいない。
君の夏は終わってなんかいない。
ゲームに負けたからってな、
それで敗れる野球があってたまるものか!
泣け!思いっきり泣け!
うんうん、オジサンはいつでも胸を貸してやるぞ!
だが、泣いた後は胸を張れ!思いっきり張れ!ふんぞり返れ!
ハト胸だっ!クルックー!
よ〜くがんばった!
君の野球に花丸を100個やろう!
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4ゲームあるとな、
この儀式を4回くりかえしている僕だ・・・。
時間的にちょびっとキビシイんだけんど、仕方あるまい・・・。
うむ、致し方あるまい・・・。
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ふう。
僕は、仕事場に戻る。
そして、仕事を入れてあるカゴを見ながら現実に戻る。
どうするよ?
この膨大なる仕事の量・・・。
納期に間に合うのか?
誰のせい?
・・・うんうん、オイラのせい・・・。
夏、結局は遊び呆けていたに等しい・・・。
うんうん、スーパー等しいくんだ・・・。
誰のせい?
・・・うんうん、オイラのせい・・・。
♪だ〜れのせいでもありゃしない〜
みんなオイラが悪いのさ〜♪
なんて唄っている場合ではない・・・。
あ〜あ、
僕が寝ている間にな、
身長5センチ位の小さな僕が10人ほど現れてな、
僕の代わりに仕事を終わらせてくれたらな、
どんなにかいいだろう・・・。
高校球児諸君、
敗者とは、今のオジサンみたいな生活習慣の人を指すのだ・・・。
どうしよう・・・、
同志よ!