雨にうたれても。

hayatonooyaji2006-06-11

朝、アジサイの花が目にとまった。
シトシトと降り続ける雨に濡れながら、まるで何か意志を持っているように咲いていた。
あいにくの空模様、色の無い灰色の景色の中で、アジサイは鮮明に咲いていた。
大きく見えるアジサイも、よく見ると小さな花びらたちが、たくさんたくさん肩を寄せ合いながら咲いている。
なぜだかとても安らかな気持ちになる。
花を見て美しいと思ったのは初めてだ。
アジサイにとって、小さな花びらの一つ一つが「かけがえのない物」・・・。
一つ一つが寄り添うように、力を合わせているみたいに見えた。それがきっとこの花の意志。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


グラウンドはすっかり準備が整っていた。
ラインが引かれ、ベースが置かれ。
そこへポツポツと大粒の雨が降り出した。


日本選手権2次予選。
「江東ライオンズVS松戸ポニー」
どちらも負けられない、後に引けない大切な試合だ。
どの子もずっとがんばってきた事だろう。
ありったけの「夢」、「想い」、「情熱」、それらを悔いなくぶつけてほしい。
誇り高く、君らしく・・・。


両軍、選手たちも準備を終えてベンチの中で待つ。
静かに熱き闘いが始まる時を待つ。
凛々しい野球小僧たちの顔を見つめる時、彼らの持つ偉大な「夢」の大きさに圧倒される。
ただただ僕らは圧倒される。


けれど雨足は強くなる。
グラウンドにいる誰もが恨めしく空を見上げた。
マウンドと各ベース上に敷かれたシートにも水が浮き始め、
更に雨足が強くなる・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1塁側、3塁側、
ベンチの中で、ユニフォームを着て座っている選手たち。


遠くから見ると、まるでアジサイのように見えた。
雨模様、鉛色の景色の中、ユニフォームの色は鮮やか。
どんな時も、「夢」褪せる事なく鮮やか・・・。


美しいと思う。野球少年たちの「夢」、
美しいと僕は思う・・・。


一人一人の「夢」はきっと、一つ一つの小さな花びら。
みんなで力を合わせて、大きな「夢」の花を咲かせてほしい。


雨にうたれても鮮やかに咲け!
野球少年たちよ・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


雨。試合中止。
とても残念だったけれど・・・。