十五歳のドラゴン

満月の夜。
すっかり朝晩は秋の風情だ。
そして今日は金曜日。
野球の大好きな子供たちの心がワクワクときめく日。
日本中の野球少年たち・・・。
ガンバレ!輝けよ!土曜日も日曜日も!
誇り高く、君らしく。


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金曜日の夜。
バッティングセンターは賑やか。
たくさんの子供たちの「想い」で溢れている。
あの子もね、この子もね、みんな真剣な顔で打っている。
そんな彼らの表情を見ていると、僕はたまらなくうれしい気分になる。


そうそう。全国的に野球少年の数が増えているって知ってた?
今日、ラジオで言っていたんだ。
いいじゃん、いいじゃん、本当にシアワセなニュースだった。
3日連続でシアワセニュースだ。


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Uくんに会った。
中学3年生。Kリトルシニア在籍の野球小僧。
ハヤトが学校の委員会でお世話になっている先輩なんだ。


彼のフォームは独特。
左打席でね、右足を胸まで上げてタイミングを取る。
グッと力強く踏み込んで球を弾き返していた。
うん。「躍動する一本足打法」ってね、僕は勝手に名付けた。
身体全体が強靭なバネのような美しいフォーム・・・。
格好いい。そして何より礼儀正しい。


Uくんは野火止コンドルズ出身。
先日、僕はクマおじさんに聞いた。
「いいでしょ?いいでしょ?Uくん。彼らの代の野火コンはね、ことごとく優勝旗を取ったんだぜ。」
さすがなり!Uくん!今なおキラキラ輝いているぞ!
これからも東久留米の野球小僧の後輩たちの、ね、素晴らしいお手本であってほしい。


ホームラン賞の名札を見る。
Uくんの名前の中、「龍」の文字がある。
雄々しく飛び立ってほしい。
目指せ!甲子園!
君は「龍」。


「それじゃ。お先に失礼しますっ!」・・・。


あ?全然失礼なんかじゃないぞ・・・。Uくんよ・・・。
シニアの卒団は1月だってね。
レーニングがんばってね。


それから・・・・、
夜だ。自転車、気を付けて帰るんだよ。
明るい道を選んで帰るんだよ・・・。


「はい!」


いい返事。
素晴らしいなぁ・・・。



今夜は満月。
バットを背負って自転車で帰るUくん。
天空の月から、大杉勝男さんが見守ってくれているよ。きっと。


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全ての野球が大好きな子供たちが、
シアワセな表情で輝けますように。


僕は祈る。
いつもと同じ金曜日の夜。


祈る事しか出来ないけれど・・・。