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父方の祖母の一周忌の法要のために岐阜へ。
そこで僕は四季桜を見た。
紅葉の中に生える桜の花が綺麗で綺麗で、息を飲んだ・・・。
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祖母の名は、「しき」であった。
いつも僕は平仮名で「しき」と祖母の名を書いていたのだけれど、
墓石に刻まれた「しき」は「志紀」であり、少々驚く。
明治時代を生きた曾祖父母の言葉のセンスの良さを誇らしく感じた・・・。
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四季桜を見ようと、
名古屋、大阪、そして遠く横浜あたりからの観光バスが数珠つなぎで大混雑していた。
法要を行うお寺さんが桜まつりのメインスポットになっていて、ね、
ごった返す観光客の中、我が一族だけが礼服で、とても浮いていた・・・。
紅葉と桜が燃えに萌える
鮮やかな山の光景の中に、先祖たちは眠る・・・。
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墓前で手を合わせて僕は祈った。
心がフンワリとする。
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おばあちゃんよ、「しき」さんよ、
初冬に見事な桜なり。
しきざくら。
もしかしたらこの桜の名前は、ね、
おばあちゃんと同じ名前なのかもしれないね・・・。
おばあちゃんよ、「志紀」さんよ、
孫や曾孫たちを見守っていて下さいよ。
四季桜。
おばあちゃんの桜。