手紙
この野球の夏を迎えるしばらく前の事だ・・・。
我が家の郵便受けに息子宛ての一通の白い封書が届いた・・・。
差出人は、清瀬ポニーの木村前ヘッドコーチであった・・・。
白い封筒に手書きされた几帳面な文字は、
そうだよ、あの木村さんの誠実な人柄そのものであった・・・。
息子本人はずっと合宿に入っていたものだから、ね、
その封書はカミさんが合宿所に届けたんだ・・・。
おい、息子よ、
木村さんは君にどんな言葉を贈ってくれたんだ?って僕が聞くと、
「へへっ。」と嬉しそうに笑うだけであった・・・。
そうだよ、それは親なんぞに語るものではない・・・。
それでいいのだと僕は思う・・・。
ただ、ね、
木村さんが贈ってくれた言葉は、さ、
君の、生涯の宝になる言葉だったか?と聞くと、
「ああ。」と息子は少し大人びた様子で答えてくれた・・・。
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木村さんは今、
清瀬ポニーの合宿に行っているからな、
まさかこんなカタチで母校野球部の夏が終わったなどと想像すらしていないだろう・・・。
息子がどんな言葉でこの夏を木村さんに伝えるのかと考えながら僕は、
今しばらくはまだ野球少年の父としてそれを見届けたいと思う・・・。
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息子にとっては試練の連続であったろう高校野球だ・・・。
だが、最後の一瞬まで彼は彼らしく疾走した・・・。
僕は、息子を誇りに思う・・・。
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木村さんが息子に贈ってくれた手紙を、な、
僕は読みたいとは考えない・・・。
だが、息子の潔く澄んだ瞳を見ると、ね、