小山の風景

一昨日の夕刻近く、
おそらく受験関係の何かの模試に出掛けていた息子を駅まで迎えに行った。
夕刻近くではあっても陽はまだ高かったからな、おそらく午後4時過ぎであったろうか。


故・小川監督(小山ドラゴンズ)のお墓の見える坂道を通る。
(今でも必ずその度に僕は黙礼をする。)
絶えることなくいつでも綺麗な花が供えられていて、ね、
あらためてあのお人柄を偲ぶ僕だ・・・。


車の中で、隣に座る息子に僕は言ったんだ、
おい、小川監督に想いを寄せておけよ、って。


17歳、高校3年生、
願う事や祈る事の本当の意味を息子が知るのはこれからだ。


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小さな車のエンジンを唸らせて坂道を登り、小金井街道への一方通行を左折。
懐かしい小山小学校が見えるこの一方通行の道もまた新しい家が増えて、景色は昔とは全く違う・・・。


その時、
小山ドラゴンズのユニホームを着た男の子とお父さんが自転車に乗って走っている姿を僕らは見掛けたのだ・・・。
練習帰りの楽しそうな笑顔であった。
低学年の男の子と、とても若いお父さんであった。


「おおっ、ドラ・・・。
 小さいなあ、可愛いなあ。」と、息子が言った。


息子よ、あれは10年前の俺たちだ。
俺たちの姿と同じだ。


あの親子の野球の日々もシアワセでありますようにと、な、
息子よ、心の中で願えよ、祈れよ・・・。


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時は流れる。
街は変わり、人も変わる。
でもね、変わらないものが確かにあるんだ。
僕は、それが嬉しい・・・。


車のルームミラーの中、
あの親子の後姿がはっきりと見える・・・。


その若いお父さんコーチの背中に、ね、
心の中で僕は語りかける・・・。


どうか今を心の底から楽しんで下さい・・・。


カキーン!