忘れやしないよ、中学1年生だった僕は、
夏休みのある日に、新座市のあたごにあったレコード店、カナリヤさんで泉谷しげるさんのLPを買ったのだった。
ファーストアルバムの、「泉谷しげる登場」ってタイトルのヤツだ。
1979年の時点で復刻版ではなく、メーカー名はエレックレコードのまんまだったから、カナリヤさんの店頭で売れ残っていた物だと思う。
それから34年、僕は、泉谷しげるさんのアルバムは全て結局手に入れながら現在に至る。


今年の紅白が楽しみだ。
まさしくファーストアルバムのタイトル同様、泉谷しげる登場だ。
日本中のお茶の間に向けて是非、「コノ野郎〜っ!」って叫んでもらいたい・・・。
タラバガニを食べながら僕は、その雄姿を瞼に焼き付けたい・・・。


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効かぬ右足を庇いながら彼は、左足1本で誰よりも力強く立つ。
叫ぶように唄う歌手なら他にもいるのだけれど、
吠えるように唄う歌手は、彼しかいない・・・。


真っ直ぐで優しすぎてしまうから彼は、わざと照れ隠しのために暴れ回っているだけであって、
真っ直ぐで優しすぎる魂はそれであってもダイレクトに聴く人々の胸を打つのだから、ロッカーなのだ。
ロックンローラーではなく、本物のロッカーなのだ。


聴こえぬ片方の耳で、彼は、数え切れないほどの多くの悲しみや苦しみの声を聴き続けている。
彼は、不器用にしか生きられない人々の代弁者なのかもしれない・・・。


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紅白で泉谷しげるさんを見られる。
なんだかそれだけですごくシアワセ・・・。


「まだ紅白に行くか行かないか決めてねえよ、馬鹿ヤロ〜。」って、
本人はラジオで仰っていたが、
こんなにも多くの人が楽しみにしているんだもんね、
たぶん、出てくれるんじゃないかと僕は信じている・・・。


季節の無い街に生まれ・・・。