ビヨンドマックス

僕は技術屋。そして野球オタクだ。間違いない。
どうしても、あのビヨンドマックスが気になっていた。ずっと調べてきた。M社が開発に要した時間と情熱、まるでドラマのようで興味深い。プロジェクトXで取り上げられそうな位、すごい。コンセプトは、一人でも多くの草野球プレイヤーにホームランを打つ夢を叶えてもらいたい。だったらしい。バットがボールをミートした瞬間のボールの変形を抑えれば、飛距離は飛躍的に伸びるはずだ。この理屈は昔から言われていた。だが、それを実際の実験で証明させるためにM社の開発陣がくりかえした試行錯誤は、モノづくりニッポンの技術者の鑑だ。ある技術者は「野球をやっていた学生時代よりも多くバットを振った。」と、振り返っている。なによりもあの柔らかい素材に耐久性を持たせるために費やした時間と技術は、実績のあるM社ならではだろう。
バムッ!という打球音でボールがビヨヨヨーンと信じられない位跳んで行く。草野球界にもピッチャー受難の時代が訪れた。野球の歴史を変えるバットなどとも言われている。
バット(but、なんちゃって)ただ値段もイイ。税込み21,000円。
今までは少年野球でも使ってはいたが、いかんせん種類が少なく、愛用のバットとしてしっくりさせている子供は見たことがなかった。バット(しかしって事さ、ね)ここにきて種類が増えた。長さ、重さ、バランス。少年野球の歴史や常識をビヨンドマックスが変えるのはこれからかもしれない。
どうしても息子に買い与えようときめた。親心・・・。ずっと僕はヘソをクリクリしていた。そしてついに!この日を迎えた。
実は今日、ハヤトとスポーツ用品店に行った。7種類の現物があった。ハヤトはひとつひとつ、握って構えた。
「それ、トップバランスじゃないタイプだぜ。使ってみようよ。買ってやるよ。」かっこいいなーワシ。理想的な父親だなー。ワシって親父は。
「いらないよ。必要ないよ。」
がーん!ショック!

結局連れてきた口実のバッティンググローブもサイズの在庫無く、手ぶらで帰って来たワシら。
教訓。親の心子知らず。