絶対に治そうね

カズヤ君は、あの強いチームのキャプテン。
彼もまた、野球が大好きな6年生の男の子。
先週のこと、その彼が骨折をしてしまったらしいと聞いていた。
彼の気持ちを思うと僕もとても悲しい気持ちになっていた。


日曜日。彼が所属するチームの、我ら親父連盟の同志、Tコーチに聞いた。
幸い、骨折ではなかったので本当にホッとした。
ただ、彼が小さい頃に痛めた肘の状態をTさんは心配していらした。


大切な子供の身体の事。ナーバスであっていい。Tコーチは正しい。


他にもK先生をご存知の方が多かった。とても嬉しい事だった。やはりスターズの周年事業でK先生の講演を聴いたと言う。
子供の側に立ち、子供の手に再び大好きなスポーツを取り戻そうと奮闘するK先生は確かに、監督コーチには手厳しいし、耳が痛いかもしれないけれど。子供たちの野球が好きなら、是非、K先生と交流するべきだ。
僕は心から、そう思う。


大切な子供の身体の事。ナーバスであっていい。もっともっとナーバスであっていい。


・・・水曜日・・・・・。K先生の所で。
ハヤトは名前を呼ばれ、肘のトレーニングの為に診察室の中へ。
僕は待合室に残った。
本当に偶然だったのだけれど、そこへカズヤ君とお母さんがやって来た!
(ユニフォーム姿じゃないので、最初は気付かなかったけれど、ね)
カズヤ君のお母さんといろいろ話せた。
そうです!野球はここで終わりじゃありません。これから先の方が長いんですから。
今、しっかりと治しておきましょう。


カズヤ君の腕にはギプス。少年の細い腕にギプス。白い包帯。
僕は胸がつぶれそうに痛くなった。


診察室の中のハヤトが見えた。水平のゴムを懸命に引いている。
傍らに、K先生の横顔が見える。


カズヤ君、よかったね。君もきっと助けてもらえるよ。K先生に。
ゴムを引いているハヤトの顔を見てごらん。
チームは違うけれど、一緒にがんばろうよ。
同じ東久留米の野球小僧だ。   がんばれ!


「あせらないでね。」
僕はそれしかカズヤ君に言えなかったけれど・・・・・・。


背番号「10」
僕は君の事も、うん。
応援するからね。