まつり

「ゴリくん、滝山の祭りに行かない?」
クマさんに誘われたのはね、土曜日の事。
・・・・・・・・・・行こ。行こ。


え?何が悲しゅうてヒゲ坊主のオジサン2人でお祭りに?
うむ。確かにそれは言えよう・・・。
東久留米に住んで10年、僕は未だに「滝山祭り」未経験者だった。
初体験だよ「滝山祭り」。ワクワク。


「いいじゃない。一緒に遊べる友達が出来て良かったわね。」
カミさんが言う・・・。
あ?クマさんは友達じゃないぞ!・・・兄弟だ!


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第2グラウンドでクマさんを見たオフクロも驚いていた。
「・・・似ているわ・・・。」
オフクロは、僕が子供の頃からね、人一倍好奇心が旺盛。
アメリカの野球少年が見たくて第2グラウンドへ来たらしい。


我が母までもが認めし、似ている具合、ヒゲ坊主・・・。
決して卑下はすまい・・・。


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夜、僕とクマさんは自転車に乗って出掛けた。
チリンチリン・・・。チャリチャリ・・・。


てっきり祭りを傍らに見ながらね、近くの居酒屋かなぁ〜って思っていたのだけれど違った。
その夜の僕らの行動たるや、まさしく、「お小遣いを握りしめて祭りにやって来た幼い兄弟」そのもの。
楽しかった!本当に楽しかった!
クマさんはね、「滝山祭り」の超ベテラン、とても詳しかった。
祭り!楽しいよね!


「焼きそば」「焼き鳥」「焼きイカ」・・・わっはっは!
シアワセだね!クマさん!
美味しいね!クマさん!
おおっ!「射的」!素敵!なんちゃって・・・うひ。
人ごみだって楽しいね!
そうだ!クマさん、「カタ抜き」って憶えてる?
「ああ、必ずオジサンがケチをつけるんだよなぁ〜。」


我ら童心なり。純粋無垢なり。
夏!サイコー!カキーン!


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途中、友達と一緒のハヤトとすれ違う。
僕らの様子を見て笑っているぞ・・・。
もしかして引いちゃっているのか?
人として。息子として。・・・え?


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帰宅後、ハヤトはカミさんに言っていたそうだ。


「父さんはスゴイ楽しそうな顔をしていた・・・。」


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