YaYa〜あの時代を忘れない〜

hayatonooyaji2006-10-29

スピーチをしている大男、彼のニックネームはマッチ。
僕らの高校時代、絶大な人気があったアイドル、近藤真彦さんに由来する。
でもね、ちょっぴり複雑ないきさつがあって、ストレートなマッチではない。
近藤真彦さんのモノマネをする片岡鶴太郎さんに似ているのでマッチと呼ばれていた。
「マッチで〜す!」毎朝、登校後の第一声がそれだったっけ・・・。
明るくて暖かい男だった。クラス1の人気者・・・。
この新郎と組んでいたデコボコの漫才コンビは、まさしく抱腹絶倒だったんだ・・・。


マッチは京都から駆けつけた。
相方を祝福するために・・・。
利害なんて無いのさ、ただ友達のために・・・。


僕ら同級生が座ったテーブルの名前は、なんと「パンジー」・・・。
これには笑ってしまった。「パンジー」に陣取るオッサン6人・・・。
普通ね、披露宴なんかではさ、やんちゃをしなければならない席だ。
「新郎友人」テーブルは、ね。
すっかり僕たち6人は高校3年生に戻っているのだけれど、もうやんちゃはマズイだろう。
寂しいけれど、すでにそんな年代か・・・。


みんなすごい。
がんばっている様子に感激した。
披露宴同窓会になってしまった。
クラスメートたちの近況にワクワク。とてもウレシイ。
それぞれ誠実に、実り多き人生を歩んでいる。
本当にシアワセで、暖かい気持ちになる。
名刺が立派で重たい・・・。
ひたむきに生きてきた証なんだね・・・。


卒業式の日の、先生の涙を覚えているって・・・。
みんなみんな、忘れられないでいるって・・・。
それがたまらなくうれしかった・・・。
ありがとうな、大切なクラスメート・・・。


え?僕?
う〜む・・・。
みんなみたいな立派な名刺は持っていないんだけれど、とてもシアワセに生きているよ。
一番大好きだった女の子と結婚出来た。
子供は二人。女の子とね、男の子。
好きな仕事で生かしてもらっているよ・・・。
それからね、今日、こうやってみんなに会えた事がシアワセ・・・。
こんなにも大活躍している友達がいるんだもんね、それがシアワセ・・・。


たまらなくうれしい。
18歳の自分に宛てて、手紙を書いてあげたいぐらいに・・・。


「前略。18歳のオレへ・・・。
え?誰だって?オレだよ。22年後のオマエだ。
本当に周りの人たちからさ、ストレートな馬鹿だって思われているぞ。
でもな、今日のオレがいるのはオマエのお陰だ。ありがとさん・・・。
人生はなぁ、結構面白いぞ・・・。捨てたモンじゃない・・・。
周りのクラスメートたちに伝えてくれないか?
みんなみんな、格好イイオッサンになっているぜ。
現在な、1歳の女の子と結婚しちゃうヤツだっているぜ。
君らがいるのは小さな教室だろ?
でもな、そこから広がる世界は無限だ・・・。
がんばれがんばれ!みんながんばれ!


PS.安心しろ。
オマエはな、40歳になっても尾崎豊の唄で泣いているぞ・・・。」


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うれしかった。
腹の底から友達のシアワセがうれしかった。


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スクリーンに映る。
新郎新婦の写真たち。


3年D組の遠足の様子。
「楽しかったなぁ・・・。」って友達が言う・・・。
「あれ?オマエとシンジが写っていないぞ!」ってか?


ああ。昔っからね、要領が悪かったんだよ・・・。
僕とシンジはね、その時は停学中だったのさ・・・。とほほ・・・。
お土産買ってきてくれただろうが・・・。


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スクリーンに映る。
新郎新婦の写真たち。


彼らの仕事はね、お年寄りの介護・・・。


車椅子に座る老婦人が笑っている。
その傍らにしゃがみ、車椅子に手を添えて微笑んでいる新婦の写真。


素晴らしい笑顔。シアワセの笑顔。
人間はね、笑っている顔が一番イイ。


働くとは、はたはたを楽にさせる事。
神様が言っているんだ。間違いない・・・。


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マッチと肩を組んで街を歩いた。
20年ぶりの事だ。
ヤツの暖かさがね、ジンジンと伝わってくる。
ありがとうな。友達・・・。
友達でいてくれてありがとうな・・・。


シアワセに生きていこうな・・・。