「Ｋ」の野球帽

ハヤトの枕元にある本のタイトルを見て驚いた・・・。
「禅に学ぶ人生の智恵」・・・。赤根梓道著・三笠書房刊・・・。
う〜む。難しい本を読んどるのう・・・。
寝ている顔とのギャップがおかしいけれど、笑っちゃ失礼だな。
少年は少しずつ成長するものだ。それでよい。
身体と同じく心も伸ばせ。
全ての中学野球少年たちよ、心も伸ばせ。
昼間は暖かいけれど、それだけに夜は冷え込む。
風邪をひくなよ、明日も野球日和らしいぞ・・・。
蹴飛ばされないように気をつけながら、僕はハヤトの布団を掛け直した・・・。

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中学生になっても同じ。
野球前夜は準備万端整っている。
金曜日の夜、ハヤトはワクワク。（顔に書いてある。）
きちんと折りたたんだ練習着一式が置かれている。
身長が伸び、ベッドが小さくなり、枕元からベッドサイドに移ったけれど・・・。

折りたたんだ練習着の上、清瀬ポニーの野球帽。

それを僕は手に取り、刺繍の赤い「Ｋ」を指で軽く撫でた・・・。
本当にシアワセで満ち足りた気持ちになる。

明日もね、しっかりと野球を習っておいで・・・。

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金曜日の夜のワクワク・・・。
全ての野球少年たちがワクワク・・・。

そうであってほしい・・・。