いつもと同じカキーン曜日に。
正直に言わせてもらうと、
僕は、少年野球が好きではなかった・・・。
あくまでもそれは単なるイメージだけでの話ではあったのだけれど・・・。
休日の校庭で、大人が子供たちを怒鳴りつけている光景はね、
一般人から見れば異様に映るし、不快極まりない姿に思えたからだ・・・。
「オ父サン、僕、野球ヲ習イタイノ・・・。」
小学校に入学したばかりの息子に言われた時は、とても戸惑った事を憶えている。
実を言うと、一番反対していたのは僕だった・・・。
小さな息子の頑固さを初めて知ったのも、今から思えばこの時だった・・・。
「ドウシテモ僕ハ、野球ヲ習イタイノ・・・。練習ヲ見ニ行ッタンダケド、
僕ト同ジヨウナ小サイ人モイタヨ・・・。」
息子と手をつないで小学校の校庭へ行ったんだ・・・。
その時のね、つないだ手のひらの感触ならハッキリと思い出す事が出来る。
否、それは思い出そうとするようなものじゃない・・・。
あの日の息子の小さな手のひらの感触は、今もなお僕を突き動かす原点なんだ・・・。
手をつないで小学校の校庭へと向かったあの日・・・。
大きな僕の手のひらの中の息子の手は、なぜだかとても熱かった・・・。
ギュっと握るとね、ギュっと握り返してきた・・・。
あの日のハヤト・・・。
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野球の好きな子供たち・・・。
現在、とても大きくなっている君だってさ、
野球を習い始めた頃はね、きっと小さな手のひらだったはずだ・・・。
その頃の君に会いたいなぁ・・・。
オジサンは君に会いたいなぁ・・・。
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ギュっと握手がしたいなぁ・・・。
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子供たちの側に立ち続けよう・・・。
カキーン曜日、
ハヤトの練習に付き合いながら思っていた・・・。
ハヤトよう、
君の野球を通じて知ることが出来た子供たちをさ、
彼らの強さや眩しさをさ、
君への想い以上に大切にしなければならない僕がいる・・・。
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いいよね、
ハヤト、君は君の野球で輝けたのなららいい。
父さんはね、父さん自身の野球を楽しむつもりだ・・・。
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野球少年たちと握手をしてみよう。
きっとね、まだまだ熱いんだろうよ・・・。
手のひらの熱さ・・・。
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