暖かな便り。

もう少しで真冬の訪れを予感させるような寒い朝・・・。
冷涼で爽やかな空気は、心を引き締めてくれるものだ・・・。
黒目川の水面が、キラキラと光っている・・・。


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カミさん宛てに届いた1通の封書が、僕の心までも暖めてくれた。
この便りの差出人は、80代の女性だ。
彼女はカミさんが病棟で受け持った患者さんで、めでたく治癒なされて退院し、
ご自宅で療養を続けているのだと聞く・・・。


「入院中は、たいへん御世話になりました。
 娘よりも年若い貴女を頼りにし・・・」


綴られた文字のひとつひとつに想いが溢れていた・・・。
とても誠実な人生を歩まれてこられた事がわかる・・・。
読みやすく、且つ、美しい楷書・・・。


メール全盛の昨今、
あらためて手書きの便りの素晴らしさを感じた。


看護婦(あえて僕は看護士とは書かない。)という仕事柄、
カミさんは、あまりにも多くの人々の命の在りようを目の当たりにしているのだろうけれど、
それらを全て日常の中に決して埋没させていない事がうれしい・・・。

ひとつひとつの悲しみも喜びも、決して埋没させていない心の持ち方がうれしい・・・。


平常の仕事の中で向き合った1つの人生に過ぎないのかもしれない・・・。
だが、この方の手紙は、普段の家庭の中では見る事の出来ない病棟でのカミさんの様子を、
あらためて僕に教えてくれたのだった。


看護婦の道を志した頃の、あの感受性の強さをカミさんは失っていない。


我が伴侶ながら、もっと尊敬しなくてはならないと思った。


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真冬の訪れを予感させるような寒い朝


1通の封書に暖められた。