潮騒。・・・わっはっは!
時々海が見たくなる・・・。
どうしようもなく海が見たくなる・・・。
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ふいに思い立ちカミさんと二人、
海を見に出掛ける・・・。
子供たちは大きくなり、それぞれが多忙・・・。
ふとした僕の思いつきに付き合ってくれるのはカミさんだけだ・・・。
海を見に行こう・・・。
潮騒を聞きに行こう・・・。
仔犬を連れて・・・。
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なんだか馬鹿の一つ覚えみたいにね、僕は昔っから同じ海水浴場だ・・・。
40歳を過ぎたこの真夏に、まだ二人で一緒にいる事が不思議・・・。
わっはっは!
周りの人から見ればね、
僕らは紛れもなくオジサンとオバサンなのだろうな・・・。
浜辺は賑やかだった・・・。
20年前の僕らがいた・・・。
10年前の僕らもいた・・・。
現在の僕らは笑いながらシートを敷き、
静かに浜辺の様子を見渡している・・・。
賑やかな浜辺に波は打ち寄せる・・・。
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20年前の僕らのような恋人たちがいる・・・。
僕は見つめながら思う・・・。
シアワセな家族の源になっておくれ・・・。
20年後も僕らのようにいておくれ・・・。
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そうそう、僕らもさ、あんな恋人同士のようだったっけ・・・。
カミさんに聞いてみたくなるのだけれど、・・・やっぱりやめよう・・・。
オンボロの僕のセリカに乗って、僕らもあの夏ここに来た・・・。
あの日の君は小さかった・・・。
小さくて壊れてしまいそうなほど可愛いかったっけ・・・。
水着姿に僕はいつもドキドキしていたんだ・・・。
忘れちゃいけねえな・・・。
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小さな子供を連れている家族を見る。
それは、10年前の僕らの姿だ・・・。
僕らもね、そうだった・・・。
ポニョみたいだった娘の顔・・・。
波が恐くて逃げ惑っていたハヤトの顔・・・。
今は大変かもしれないけれどさ、がんばれがんばれ・・・。
大事な家族の物語を紡いでおくれ・・・。
あっという間・・・。
あっという間にね、また二人だけに戻ってしまうのだから・・・。
ギュッと抱きしめてあげていてほしい・・・。
ちっちゃな子供たちを・・・。
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タロウとカミさんは波打ち際を歩く・・・。
こうして僕らはゆったりと生きてみよう・・・。
貝殻を探そう・・・。
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帰り道に見た・・・。
うむ、BMWのZ4なり・・・。
美しい車だ・・・。
紅葉マークが見事・・・。
見ると運転席の爺さんはやんちゃっぽい・・・。
助手席の奥さんはぐったりしてる・・・。
爺さんはやんちゃで悪そうだ・・・。
そう、爺さんじゃなくってさ、G3と名付けよう・・・。
Z4のG3だ・・・。
いいじゃん・・・。
格好いいじゃん・・・。
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振り返ったり足元を見つめ直したり、
人生はきっといろいろかもしれない・・・。
僕みたいな浮浪雲さえいろいろと考えた一日・・・。
でもね、
BMW/Z4/G3みたいな生き方をしている男だっている・・・。
どんと構えた生き方だってE!
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カミさんよ、
時々海を見に行こうな・・・。