「おかげさま。」のおかげさま。

修学旅行の代休で学校はお休み。
僕は、ハヤトを連れて僕の先輩である晃さんの事務所へ御礼に伺う。


 「今週末、清瀬ポニーの卒団式を迎えます・・・。
  いろいろとありがとうございました。
  僕は、高校でも野球を続けます。」と、ハヤトは挨拶をした。


 「そうかぁ、よくがんばったな。
  高校の野球はね、もっともっと厳しいだろうけれどがんばるんだぞ。」
晃さんはニコニコとしながら握手をして下さった・・・。


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思えば早いものだ・・・。


「中学で本格的に野球をしたいならばね、素晴らしいクラブチームがあるぞ。」
そして晃さんに清瀬ポニーを紹介して頂いたのだった・・・。


晃さんの二人の御子息も清瀬ポニーの出身。
晃さんは親父OBの大先輩だ・・・。
え〜っとね、剣道の達人で、明るい・・・。
それから声が大きい・・・。
保険の関係でずっとずっと清瀬ポニーをバックアップし続けている人・・・。
会うたびに僕も元気を頂く・・・。


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晃さんの息子さんたちの現在の様子を聞く。
野球に育てられた青年たちの様子は本当に頼もしい・・・。


そうだよ、続ける事が大事。


投げ出さず最後まで野球を続ける事。
それこそ社会の中でしっかりと生き抜く力を得るために必要なのだとあらためて感じた。


ご次男は、そうそう、
清瀬ポニー〜U学〜J大へと野球の道を進み、
現在は社会人のS金属で投手として大活躍中だ・・・。


 「わっはっは、都市対抗ではね、オレは一族郎党を引き連れて東京ドームに行ってるんだよ。」


晃さんのシアワセそうな表情は、そうだね、
野球少年を持つ親父そのものの笑顔だ。


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 「がんばれよ!ずっとずっと野球を続けてくれよ!」


帰り際、もう一度晃さんはハヤトの手を握って肩をポンと叩いて下さった・・・。


 
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人のつながりのありがたさを思う。
縁の不思議さを思う。
そして、その縁を確かなものにするためには、
しっかりと明日を見据える気持ちが大切なのだと思う。


すべてが周りの方々のおかげなのだ。
「おかげさまで・・・。」ってね、静かな心が大切なのだ。


たくさんのたくさんの方々の「おかげさま。」のおかげで、
君は今も夢を見ながら野球を続けられている。
それを決して忘れないでいてほしい・・・。


今だからこそ。


少年野球の最後の今だからこそ。