絆・・・。桑田真澄氏の講演会へ。

それは26年前の春。
名門、PL学園の野球部で2人の少年が出会う・・・。

「はじめまして、清原です。よろしくお願いします。」
「はじめまして、桑田です。よろしくお願いします。」

しっかりとお互いに背筋を伸ばして挨拶をした。

握手をした時、15歳のマスミくんの目の前には、ね、
同じ15歳のカズヒロくんのベルトがあったという・・・。

「うわぁ、大きなヤツやなぁ・・・。
 周りもみんな大きいヤツばかりや・・・。
 ここは、僕みたいな小さなヤツが来るトコやなかったんや・・・。」

中学時代に所属していた硬式野球リーグではお山の大将だったマスミくんは、
すっかりと自信を失くしてしまったのだそうだ。


「オカン、僕は間違えてしまったんや・・・。
 こんなスゴイ学校では僕なんか無理や・・・。
 レギュラーはおろか、きっとベンチ入りだって出来へん・・・。
 悪いんやけど・・・、転校したい・・・。」


受話器から聞こえるお母さんの声が、そんなマスミくんの心を支えた・・・。


「何言うてるのん。
 最後までやり。
 レギュラーになれんベンチ入り出来ひんかって構へんやないの・・・。
 一番大切なのは、最後まで続ける事と違う?」


こんなスゴイ桑田真澄さんだってね、
ずっとずっと不安と闘っていたんだね・・・。


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我が親友サップがものすごく苦労をして奔走してくれて、
なんとかチケットを手にする事が出来た桑田真澄氏講演会・・・。
タイトルは、〜絆〜
「どうしてもオレは、今のハヤトに桑田の話を聞かせてやりたいんだ。」
そんな事を言ってくれる僕の親友に僕は、
僕なりに絆という言葉の意味を考えずにはいられなかった・・・。
絆に感謝・・・。


会場に溢れんばかりの多くの聴衆の中、僕ら親子は正面前から2列目の座席に座らせて頂いた。
僕の隣に座る14歳のハヤトの心に、桑田真澄さんの言葉のひとつひとつが滲み込む様子がわかる。


野球の神様に好きになってもらう生き方が、ある。
挫けそうになってもね、何度だって起き上がろうって励ましてくれるダルマさんを心に宿す生き方が、ある。


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桑田真澄さんは小さかった。
だが、大きな男だった。


とても細く長い指をしていた。
しなやかな投手の指をしていた。


大きな夢に挑もうとしている中学3年生の野球小僧たちよ、

必要なのは心の在り方だ。
大切なのは生き方だ。


そうさ、魂のカタチを美しく磨き上げる事だ。


絆に感謝する事だ。