矢切の私。

小噺をひとつ・・・。


A:「おおっ!川の向こう岸に人がいるぞ!一体どうやって川を渡ったんだろう?
   お〜い!アンタ〜っ!どうやって川を渡ったんだ〜い?!」
B:「お〜う!オレはな〜!こっち岸で生まれたんだ〜!」


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きっとむかしむかし、大きな川を目の前にして人は、向こう岸すら憧れだったに違いない・・・。


山のあなたの空遠く〜なんてさ、ヘッセが詩に記した気持ちは、
むかしむかしきっと、多くの人々が共通に抱く想いだったに違いない・・・。


憧れこそ人の原動力なのだ・・・。
山があれば昇る・・・、ノボルくんだ・・・。
川があれば渡る・・・、ワタルくんだ・・・。
道があれば進む・・・、ススムくんだ・・・。
ノボルくんもワタルくんもススムくんも素晴らしい名前だと僕は思う・・・。


空があれば飛ぼうとする。
ああ、人は、むかしむかし、鳥だったのかもしれないね・・・。
なんちゃって、な。


今、少年たちの目の前には野球がある・・・。
憧れが彼らを動かす・・・。
憧れこそ彼らの原動力なのだ・・・。
昇れ!渡れ!進め!いざ!野球を・・・。


わっはっは!野球日和の日曜日なり!


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昨日、本当に感激した。

矢切の渡しだ・・・。


風情か?、あるいは趣きと呼ぶべきだろうか?
とても情緒溢れる街の風景だった・・・。
車で通り過ぎただけなのだけれど、充分に雰囲気を満喫出来た・・・。


建ち並ぶ家並みのところどころ、時折り川が見えた・・・。
秋の陽に照らされてキラキラと光っていた・・・。
この川の向こう岸は葛飾・柴又・・・。
寅さんは元気だろうか?
今もきっとどこかでね、旅を続けているんじゃないだろうか?って思う・・・。


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息子たちの野球の遠征に付き合う・・・。
ちょっとした旅の気分に何度もさせてもらった・・・。
楽しい日々だった・・・。
本当に楽しい日々だった・・・。


試合に勝った帰り道・・・。
試合に負けた帰り道・・・。
いろんな思いを噛み締めながら過ごした日々・・・。


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清瀬ポニー3年生チーム。
いよいよ残りは1試合・・・。


少年野球時代の最後の試合・・・。
その日が刻々と近づく・・・。


今度の土曜日だ・・・。


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昨日僕は、矢切の空気を吸った・・・。
車の窓を全開にしながら吸った・・・。
そして、こんな言葉を贈りたくなったんだ・・・。


なあ、30期生たちよ、
目の前にある大きな川みたいな少年野球だったな。


みんなみんながんばって泳いだ・・・。
真剣に全身で泳ぐようにここまで来た・・・。


最後までしっかりと泳ぎなさいよ。
向こう岸まで渡りきろうよ・・・。


カキーン!