冬が来る前に。

驚くほど日没が早い・・・。
秋の陽をつるべ落としとは、よくぞ言ったものだ・・・。
夕方の五時を過ぎたばかりなのに外はもう真っ暗だ・・・。
気温もぐっと低くなる。
晩秋・・・。


煙るように小雨が断続的に降り続いていて、
夕刻の風情を一際物悲しいものにさせている。


冬が近づく・・・。
冬が近づく・・・。


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晩御飯の前に、僕は買い物に出掛ける・・・。


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暗くなった景色の中、家路を急ぐ野球少年を見つけた・・・。
小学校の高学年かな?
ヘルメットにリュック。
リュックの脇にはバットケース・・・。
自転車を漕ぐ姿が眩しい・・・。
白いウインドブレーカーの下には、ね、水色のユニホーム・・・。
野火止コンドルズの選手だ。
むせぶような小雨の中を、元気よく走っていた・・・。


気をつけて帰るんだよ・・・。
気をつけて帰るんだよ・・・。
滑って転ばないでおくれよ・・・。


どうだい?今日も野球は楽しかったかい?


気をつけて帰るんだよ・・・。
転ばないで帰るんだよ・・・。


大きな声でね、「ただいま!」って言うんだよ・・・。


自転車で走る道は少しだけ暗いけれど、
気をつけて帰るんだよ。
君の家の暖かな灯りに向かって・・・。


お母さんやお父さんが待っているよ。
君の「ただいま!」を聞きたくて待っていてくれるよ。
元気いっぱいに帰るんだよ。
暖かいお風呂と、暖かい御飯が君を待っているよ。
転ばないで帰るんだよ・・・。


元気に自転車で走る後姿を見送る・・・。


きっときっと野球は楽しかったんだね。
シアワセな日曜日を過ごせたんだね。


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晩秋。
それを寂しく感じてしまうのは、たぶん、そうだな、
大切な人を想う気持を忘れないようにするためなんだろうな・・・。


さてと、買い物を早く終えて僕も帰ろう・・・。


僕は僕のホームベースに・・・。


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川沿いの遊歩道を歩きながら、
歌を唄いたくなる・・・。


キョロキョロと周りを見渡し、
人がいない事を確認してから、・・・唄う・・・。
・・・恐縮です・・・。


♪ふ〜ゆ〜がぁ〜 くっるまえに〜
 も〜いっちど〜 あんのうひっとっと〜♪


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・・・恐縮です・・・。