類友の法則。
それは、ハヤトが小学校の卒業を目前に控えていた頃の事・・・。
ハヤトは同じクラスだったIくんから一通の手紙を受け取った・・・。
Iくんはね、野球少年の仲間ではなく、いわゆる秀才タイプの、中学受験に挑む男の子だった・・・。
なぜかハヤトとは気が合い、放課後はよく遊んでいた・・・。
「ハヤトくん。
今までずっと仲良くしてくれてありがとう・・・。
中学校へ行ってもがんばってね・・・。
きみは、ぼくの、あこがれでした。」
そんな手紙を同級生に贈れるIくんの、その心の感性の素直さに僕は感動したものだった・・・。
そして、何よりもハヤトの父親として、とてもうれしい気持ちになった・・・。
Iくんのようなトモダチを持ったハヤトと、Iくんという純粋なひとりの少年を僕は、心から誇らしく思った。
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別々な道に進んでも、ね、
いつまでもトモダチは財産なんだよ・・・。
決して失ってはいけないよ・・・。
トモダチは宝だよ・・・。
高校受験を控えた今、
この話を僕は、あらためて息子に伝えたいと思う・・・。
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Iくんからの手紙を僕が読ませてもらった時、
僕は、僕自身の、あるトモダチについて考えていたんだ・・・。
僕にも、そう、あこがれのトモダチがいた・・・。
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ハヤトが生まれた日・・・。
男の子を僕が授かった日・・・。
僕は、あのトモダチのような少年に育ってほしいと願った・・・。
腕っぷしが強く、スポーツ万能で頭も良く、
なによりもトモダチを大切にする少年・・・。
ものすご〜く贅沢な願いだと知りつつ、
生まれたばかりの息子を抱き上げて僕は祈ったのだった・・・。
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Iくんからもらった手紙を再び読み、
少しだけ息子が僕のトモダチみたいになれているのかな?って思うんだ・・・。
まだまだ、まだまだ、とてもとても程遠いけれど・・・。
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僕のあこがれのトモダチの名前はシンゴくんと言う・・・。
偶然なんだ・・・。
シンゴくんが清瀬ポニー3期生だったと僕が知るのは、
ハヤトが清瀬ポニーに入団した後の事だ・・・。
ハヤトが清瀬ポニーを卒団した今、
ようやくここに記述する事が出来る話題だ・・・。
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縁とは何と不思議なのだろうと思う。
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腕っぷし?・・・そこそこ・・・。
頭の出来?・・・ほどほど・・・。
シンゴくんには程遠いハヤトだけれど、
トモダチはとても大事にしている・・・。
27年の時の差は、ある・・・。
でもね、同じようにシアワセな顔で野球をずっと続けてくれたらいいな・・・。
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カキーン!のシアワセ・・・。
少年時代の野球のシアワセ・・・。
トモダチは宝・・・。
きっと、ね、良き先輩も宝・・・。
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先日会った42歳のシンゴくんは、
本当にシアワセそうな顔で笑っていた・・・。
ハヤトよ、君も42歳になった時、
あんな笑顔でいてくれたら父ちゃんはウレシイ・・・。
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時空を越えてなお、
野球少年の夢は同じ・・・。
カキーン!
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