「・・・合格したよ・・・。」
受話器の向こう側から聞こえる息子の声は、心なしか詰まっているように聞こえた。
おめでとさんと一言だけ僕は贈った・・・。


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高校の野球部のグラウンドに立つ木に想いを馳せ、僕は御礼を述べた・・・。
数え切れぬほど多くの球児たちを見守り続けた木に、僕は御礼を述べた・・・。
あの木がきっと、呼び寄せてくれたのだと思う・・・。


先輩を敬い、仲間達と友情を育んでほしい・・・。
高1の試練すら、野球の喜びのひとつとして感じ、そして乗り越えてほしい・・・。
「あの夏」を宝物のようにして持つ、強い大人の男へと成長してほしい・・・。
それだけが僕の願いだ・・・。


グラウンドには、あの木がある。
あの木がきっと見ていてくれる・・・。
何も心配ない・・・。


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春。
あこがれてあこがれてあこがれ抜いたグラウンドに立つのは、3月25日・・・。
元気いっぱいにトンボを持ってグラセンをしていられたらシアワセ・・・。