■
ランニング夜の部・・・。
ハヤトの帰りがあまりにも遅いのでカミさんは心配していた・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昼間は驚くほど暖かな一日だったけれど、
夕方から風が強まり気温が下がった・・・。
だが、空気は澄んでいるみたいで、
夜空には本当に綺麗な月が見えていた・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どこまで行っちゃったのかしら?」
何度も何度もカミさんは言う・・・。
どこの御宅でもそうなのだろうけれど、
母親ってヤツは心配性なんだな、こと息子の行動に対して・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ただいまぁ〜」と、汗はすっかり引いたような状態にてハヤト帰宅・・・。
「どこまで行っていたの!」と、かなり厳しい口調でカミさんは聞く・・・。
お〜い、ハヤトよ、口答えしちゃならんぞ・・・。
母さんはな、とっても心配してたんだぞ・・・。
少なくともな、それには感謝せよ・・・。
って、ね、カミさんの背中越しに僕はハヤトに目で合図をする・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
聞くところによるとハヤトは、いつものコースを走っていたのだが、
途中で同じくマラソンしている同級生のKくんと行き会い、
黒目川と落合川の分岐まで一緒に走ったそうだ・・・。
その後、我が家の近くまで帰ってきてからずっと、
芝生の公園でKくんと話していたのだと言う・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜空は見ただろうか?
月は見ただろうか?
Kくんよ、ハヤトよ・・・。
たくさん話は出来ただろうか?
その時間は、な、
いつまでも忘れ得ぬ時間だ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
卒業までのカウントダウン・・・。
トモダチと過ごす時間を何よりも大切にすればいい・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
月は綺麗だったろ?