■
「自分が生きた証を残したい・・・。」
そんな事を人は、よく言う・・・。
僕だってきっと、心の奥底で、ね、
自分では気付かなくても、そんな事を考えているのかもしれない・・・。
でも、な、
何も残さなくてもいいんだ・・・。
ただ生まれ、
懸命に今日を生きているだけでいいんだ・・・。
人生の善し悪しなんざ、人それぞれなんだもの・・・。
人生の善し悪しを計るハカリなんて無いんだもの・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どんなに長く生きたって、ね、
もしかしたら薄っぺらな人生だってあるかもしれない・・・。
たった16年しか生きられなかったとしても、
そして、その命は突然に断たれてしまったのだとしても、
充たされていて生き抜いたのだという人生だってある・・・。
将聖くん・・・。
きっと懸命に夢と、
そして白いボールを追いかけていたであろう君の16年は、ね、
とてもとても尊くて、永遠に輝く青春の姿そのものだよ・・・。
君は、生きた・・・。
16年の人生を全力で疾走したんだ・・・。
君は、生きていた証を残した・・・。
そうだよ、生きた証を鮮やかに残したんだよ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
五厘の坊主頭で笑う君の顔を、
僕はいつまでも忘れないからな・・・。
野球さえ学んでいなかったら・・・。
野球をしていなくて、自宅通いの普通の高校生に君がなっていたのだとしたら・・・、
君は、命を断たれなくて済んだのかもしれないよね・・・。
でも、違う・・・。
君は、野球に魅せられた少年だったんだ・・・。
だから僕は泣く・・・。
いつまでもずっと、君を忘れまい・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
野球を好きでいてくれてありがとう・・・。
まだ僕の涙は、止まらないんだけれど・・・。