いつかのメリークリスマス。
今にして思えば、随分と小さなケーキだった・・・。
仕事を終えて僕は、小さなケーキ屋さんで小さなケーキを買った・・・。
小さなケーキの箱を抱えて家路を急いだ・・・。
いつかのメリークリスマス。
なつかしいメリークリスマス。
冬の夕闇の中、アパートの明かりが暖かく見えたのを覚えてる・・・。
カミさんはチキンを煮ていた・・・。
臨月の、大きな大きなお腹をしていた・・・。
アパートのドアを開けた時の湯気や、チキンの匂いを覚えてる・・・。
「来年からは家族のクリスマスになるんだね。」
そう言いながら笑っていた若き日のカミさんの顔を、今でもずっと覚えてる・・・。
僕らは幼くて、まるでままごとのような暮らしだったけれど、
その頃の想いは今も、変わらずに僕の心の中にある・・・。
メリークリスマス。
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今日、
綺麗に飾ってあったクリスマスツリーを片付けた。
クリスマスツリーの箱の、古くなった様子に微笑む・・・。
年が開け、お正月になったら娘は18歳。
同い年のクリスマスツリーの箱は古くなったけれど、
瑞々しく青春を華やごうとする娘の姿に僕は微笑む・・・。
カミさんよ、僕らも歳をとったものだ・・・。
また来年も、な、家族でクリスマスツリーを飾ろう・・・。
娘が生まれた年、近所のホームセンターで買った、一番小さなクリスマスツリーだ。
こんなにも長くシアワセな時間を一緒に過ごしてくれているのだから、
まさしくお買い得商品だった・・・。
古く、色褪せた箱をビニールテープで縛って天袋へ・・・。
メリークリスマス。
え?
ツリーを片付けるのが早過ぎないかって?
だって、娘の婚期が遅れたら困るでしょ?
メリークリスマス。
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昨日、
娘とカミさんは2人でチキンを煮た。
チキンのオシリがとってもプリティ・・・。
あと、大きなケーキも2人で焼いていた・・・。
僕と息子は、それをお腹いっぱい食べた・・・。
ささやかなのだけれど、
メリークリスマス。
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若い日もシアワセだった。
今もシアワセだ・・・。
やがて僕ら夫婦は、再び小さなケーキを買うようになるのだろう・・・。
でもね、その日にはその日のシアワセがあるんじゃないだろうかって、
僕は思う・・・。
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メリークリスマス。