くりといつまでも。

くりくり・・・。
くりくり・・・。
右を見ても左を見ても、くりくり坊主ばっかりじゃあ御座いませんか・・・。
高校の野球部のグラウンドって、ね、たくさんのくりくり坊主たちで賑やかで楽しい・・・。

くりくり・・・。
くりくり・・・。
そして聞こえるカキーン！

カキーン！は、
カキーン！の上にカキーン！をつくらず、
カキーン！の下にカキーン！をつくらず、
ただひたすらにカキーン！なのだから僕は嬉しい・・・。

深呼吸をしよう！
野球の風を胸いっぱいに吸おう！
高校球児たちよ！

え？
普通の楽しい高校生活なんて、とっくに諦めちまったってか？
ひたすら野球漬けの毎日だってか？

いいんだよ、それでいいんだ・・・。
君たちは今、人生の稽古をしているところ。
強い男になるためのな〜、稽古をしているところ。
優しい男になるためのな〜、稽古をしているところ。

自分を信じるんだよ・・・。
仲間を信じるんだよ・・・。
練習を信じるんだよ・・・。

普通の楽しい高校生活なんかじゃ得られない、
もっとスゲー、もっとデケー、
宝物のような青春の思い出を創っているところ・・・。

くりくりよ、
くりくり坊主たちよ、
僕は、今の君たちのすべてを肯定する・・・。

僕だけじゃないぞ、バックネット裏の観覧席を観覧してみな。
たくさんの父ちゃんや母ちゃんたちがいるだろう？
どんな気持ちで僕らがここにいると思う？

くりくりよ、
くりくり坊主たちよ、
それは、君たちを肯定するためだ・・・。
良い時も、悪い時も、
君たちのすべてを肯定するためだ・・・。
そのためにな〜、たくさんのたくさんの僕らがいる。
こうしてここにいるのだ・・・。

親心さ。

カキーン！の心、親心、
押せば命の泉湧くのだ・・・。

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都立Ｈ高校野球部グラウンド・・・。

本当に素晴らしいグラウンドだった・・・。

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なあ、くりくりよ、
くりくりの高校球児たちよ、

ヘトヘトにくたびれ果てても、な、
いい表情で家に帰るんだぜ・・・。