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従姉が逝く。
まだ50代の若さであった・・・。
遺影の中の彼女は、Vサインをして明るく微笑み、
お願いだから悲しまないでと言っているように見えた・・・。
聞けばこの写真は、告知を受けた後に撮影したものだそうだ。
人間の生命は儚いのだけれど、とてもとても強いものだ・・・。
自らの生命を大切にして、日々を慈しみながら生き抜こうとした人生の軌跡は、
しなやかで鮮やかで、まこと尊敬に値するものだ・・・。
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生きようとしていた・・・。
今日を生きようとしていた・・・。
明日を生きようとしていた・・・。
未来を生きようと切に望んでいた・・・。
病なんかに負けてたまるかと闘っていた・・・。
Vサインの微笑みは、美しかった。
とても綺麗な人であった・・・。
亡くなった人ではなく彼女は、
生き抜いた人なのだ・・・。
限りある生命を、
限りなく強く生き抜いた人なのだ・・・。
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合掌。
ただ、どんなにかどんなにか彼女は、
もっともっと生きたかっただろうかと考えると悲しい・・・。
お願いだから悲しまないでと言われても、な、
やっぱりやっぱり悲しい・・・。
掌に力を込めて合掌。
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夜のニュースで・・・、
中学3年生の少年が自らの生命を絶ったと聞く・・・。
無性に腹立たしい。
腹立たしくて悔しくて僕は涙が出る・・・。
「あなたが無為に生きる何気ない今日は、
誰かが生きたいと真剣に願った明日なのだ。」
使い古された言葉なのだけれど、
あらためて僕もそれを語りたいものだ・・・。
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遺影の中のVサインの微笑みを忘れまい。