カブトムシがいる情景。

夜、川沿いの道を歩いていた僕は、街灯の下に佇むカブトムシを見つけ、家に連れて帰った・・・。


思えば、ずいぶんと久しぶりのカブトムシである。
子供たちが大きくなった我が家にとって、カブトムシは懐かしい存在になっている事に感慨を抱く・・・。


艶やかな漆黒の胴体と、立派な角、
この界隈には、農家も多く堆肥もあり、カブトムシは結構身近だ。
そんな環境を僕は、誇らしく思うよ・・・。


イカの皮に乗せると、カブトムシは嬉しそうに吸い付く。
ブラシのような口で、頭を動かしながらの食事風景は、虫ながら可愛い・・・。
(お腹を壊しちゃうので、本当はスイカはあげちゃダメなのだけれど、今夜は仕方ない。)


娘は笑いながらカブトムシの様子を携帯電話のカメラでパチリ。
「懐かしいな〜。」と息子も、カブトムシを指でつついた・・・。


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どこからか風鈴の音・・・。
やさしく涼やかな風鈴の音・・・。


夏の夜、
一匹のカブトムシが運んで来てくれた家族の笑顔に感謝。
シアワセな時間・・・。


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今朝早く、
制服に着替え、野球のバッグを肩に背負った息子が言った。


「かわいそうだからカブトムシを逃がしてあげてね。」と・・・。


昔、あんなにも大好きでな〜、
クワガタもカブトムシも毎年たくさん飼っていた男なのにな〜、
こんな表情でそんな事を言うようになったんだな〜って、ね、
ちょびっと僕はうれしくなった・・・。


おう!父ちゃんに任せとけ!
父ちゃんが責任を持ってカブトムシを大自然に戻そう!
英語で言うと、つまり、キャッチ&リリースってヤツだ。


息子よ、今日も野球をがんばってこい。
幸運をキャッチせよ。
リリースしちゃダメよ・・・。


カキーン!だぞ、
大自然の中でカキーン!だぞ・・・。


がんばれがんばれ!