お袋さん・・・。

「練習着一式が入った袋が無いっ!」と、息子がカミさんに言った。


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う〜む、オフクロに袋の話をしているのだな、と、
僕は思って聞いていたのだが、
息子のオフクロであるカミさんは袋の話を聞いて怒っていた。


「どこで失くしたのっ!」って・・・。


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練習を終えて帰宅途中、
息子は本屋さんに寄って参考書を買ったのだそうだ・・・。
雨が降っていたので、買ったばかりの参考書が濡れないようにと、
大きな野球のバッグの中身を入れ替えたのが原因らしい・・・。


濡れてもいい使用済み練習着の袋を上に・・・。
濡れたら悲しい買ったばかりの参考書をその下に・・・。


練習着の袋だけじゃなく、他の物も出して、
かなり大規模な荷物の入れ替えを行った模様・・・。


そんでもって入れ忘れてしまったんだな・・・。


参考書によって得る「知識」と、
人間の本来の賢さを意味する「知恵」は違うものだ・・・。
この度の息子の行動から僕は、それを学んだ。


要するに息子は、おっちょこちょいって事だ・・・。


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そうだよ昔、
清瀬ポニー1年生だった当時の息子は、
清瀬第2グラウンドにグローブを忘れた事もあった・・・。


深夜、シクシクと泣いていたので、
僕は息子を車に乗せ、一緒に探しに行ってやったのだった・・・。


真夜中の第2グラウンドは、暗い。
車の中で息子はクライ・・・。
おトイレの明りだけが灯った第2で二人それぞれに懐中電灯を持って探し、
グローブを見つけた時の喜びは今、良き思い出だ・・・。


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だから今度の練習着袋紛失も、な、
いつか必ず思い出になるからオッケー牧場じゃないかと僕が言うと、


「何言ってんのよ!
あと何ヶ月かの時点でまた新品を買うつもり?
冗談じゃないわ!」って、カミさん激怒・・・。


冗談じゃないわ!って言った時の、な、
冗談のジョ〜って発音する時の唇が尖っていて、
カミさんの激怒の度合いが見えたので僕はノータッチ。
今後一切この件に関しましてはノータッチを決めた・・・。


男よりもな〜、女は恐い。
そして強い。
息子よ、この出来事から学べっ!
そうだ、それこそ「知恵」なのだと父ちゃんは思う・・・。


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え?結局?


そう、件の練習着袋は、
自転車のカゴの中にありました・・・。


息子よ、
君のような人のことを、おっちょこちょいと呼びます。


しかし息子よ、
買った本が参考書で良かったじゃないか・・・。
もしもそれがマンガ本だったりなんかしてみな・・・。


恐ろしい事になっていたぞ・・・。