拝啓、18歳だった僕へ。

あの春の日、僕は18歳だった・・・。


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息子よ、ちょうど今の君や、君の仲間たちと僕は同じ18歳だった・・・。
息子よ、君や、君の仲間たちを見守り続けたこの目をもったまま僕は、
18歳だった僕自身を探し、そして逢いに行くんだ・・・。


それが同窓会なのだと僕は思ってる・・・。


18歳になった息子や、その仲間たちを抱きしめ、
頭を撫でてあげるなんて事は、もう、出来っこないのだけれど、
18歳だった自分自身を、なら、
抱きしめ、頭を撫で、励ます事が出来るような気がする・・・。


アンジェラ・アキさんの、なあ、
拝啓、15の君へ、ではないのだけれど・・・。


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息子と、息子の仲間たちよ、今、
君らは未来が不安で不安で仕方ないだろ?


君らの未来へ向けて贈る言葉など、僕は持たない。


でも、18歳だったあの日の僕に向けて贈る言葉なら、
そうさ、
胸の中に溢れるほど、ある・・・。


息子よ、その仲間たちよ・・・、
18歳だった僕も君らと同じ、不安で押し潰されそうになっていた。


45歳のオジサンになった僕が、
18歳だった不安でいっぱいの僕自身を抱きしめ、
頭を撫でながら言ってやる・・・。


「オマエは、このままでイイんだ。」


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夜、走り、
我が家の灯りが見える場所まで戻る。
息子の部屋から灯りがもれている・・・。


受験勉強の真っ最中だ・・・。


息子よ、
僕は、君に贈る言葉を持っていないのだ・・・。
ゴメンな・・・。


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不安に押し潰されそうになり、
もしも君が、もうダメだと思って目を閉じてしまったとしたら、


いいかい?
それでも自分の心の中の耳を澄ませてくれ・・・。


大丈夫だ、大丈夫だよ、


45歳になった君が、
必ず今の君に逢いに来てくれるから・・・。


そして勇気をくれるから・・・。


45歳になった君は、
18歳の君を懸命に探し続けてくれているから・・・。


それを信じていておくれ。