今年の成人の日に寄せて

かつて、バブルという時代があった。
二十歳を目前にするあなたたちが、そうだな、おそらくお母さんのお腹の中にいた頃よりももっと前、
そのバブルという時代はまさしくシャボン玉のように膨らんで弾けた。
シャボン玉のように膨らんで弾けて消えちゃったからな、
その時代は後にバブルと名付けられたんだよ・・・。


誤解を恐れずに言わせてもらうのだけれど、
浮かれて、はしゃいで、狂った時代だったと僕は考えている。
その時代に自分の背骨を作らなくて良かったと今、つくづく思っている。


現在、社会に出る寸前に悩み苦しみ悲しむ若者である君らはシアワセだ。
なぜなら、根拠無き好況を知らずに育つ事が出来たからだ。
それは、強い事なのだよ。


スタートは苦境からでいい。
これ以上は無い苦しみの中から旅立つ者は強い。


バブルのような時代が再び来ませんようにと僕は祈っている。


この足で立とう。


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今年も成人の日が近づく。


「日本経済の失われた20年」なんて言葉に踊らされない若者たちが二十歳になる。
失う物無き若者たちの未来に期待を寄せよう。


一艘の小さな船に一人きりだっていいじゃないか。
但し、その手には一本の銛(モリ)をしっかりと握り締めていてくれ。
しっかりと魚を突くんだぜ。


君の目の前にあるのは海だ。


かつて君を乗せることを拒んだ大きな船が何艘も沈む姿をこれから君は幾度も見るだろう。


救命ボートに乗って波間を漂う、沈んだ船の元乗組員のオッサンたちの手を見るがいい。
彼らは銛すら持っていない。
たった一尾の小魚すら自らの手で突けぬオトナたちだ。


君の船は小さいのだけれど、漂ってはいない。
しっかりと船首を波に向けて前へ進んでいる。


ヨーソロー!
ヨーソロー!


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「成人の日」って、きっと、
強く生き抜く誓いを立てる日。