じてんしゃ小僧
午後、遊歩道の方から、
「エ〜ン!エ〜ン!」と泣いている子供の声が聞こえた。
「エ〜ン!エ〜ン!」っていう泣き声が、なあ、
久しぶりに聞く見事なまでの「エ〜ン!エ〜ン!」っぷりであったものだから、
僕は慌ててその場へ駆けつけた。
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停めた自転車の傍で、小学校低学年の男の子が泣いていた。
「エ〜ン!エ〜ン!」って、ね、
両手のひらを水平にして若干V字で目を押さえて泣く、
それはそれは典型的な「エ〜ン!エ〜ン!」ポーズだった・・・。
どうしたっ?と僕が聞くと、
「自転車が壊れちゃった。」と啜り上げながら言う・・・。
見ると、チェーンが外れただけだったので、その場でホイっと直してあげた。
本来ならば預かり、2駒ほどチェーンを詰めてあげるべきだったろうが仕方あるまい。
あくまでも応急処置だからお父さんかお母さんに言って自転車屋さんに持って行くんだぞと言ってあげた。
あれだけ激しく「エ〜ン!エ〜ン!」って泣いていたくせに、ね、
途端に元気いっぱいになっちゃうのだから子供って素晴らしいぢゃないか・・・。
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「オジサンは自転車屋さん?」って僕に聞くので、
違うよ、
オジサンは自転車操業屋さんだと答えた。