指、真っ黒クロスケになります・・・。
並みの職人は普通、指サックをはめたりして行なうバフ作業なのだけれど、
僕ぐらいの職人となると指先で感じる熱も勘の一つ。

金もこうしてピカピカに磨いてからメッキをあてる・・・。


娘よ息子よ、
父ちゃんの指先はいつも黒かったって君らの記憶には残るのだろうか。


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指先は真っ黒クロスケに汚れても、
品物はピカピカに綺麗になる。
仕事ってのは、さ、
良い部分ばかりじゃなくって、さ、
こうした大変な作業だって伴うものだ・・・。


でもね、研磨剤にまみれた品物を超音波洗浄機にかけて、
水ですすいだ直後の光沢は本当に本当に美しくて、なあ、
この仕事をして28年になる今でも僕は感動するんだよ・・・。


仕事って、そんなものじゃないのかな。


まだ学生の君も、
たとえば職人として仕事を学び始めたばかりの君も、
これだけは譲れぬ、そうだな、矜持と呼べる何かを見つけておくれ・・・。


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まだ学生の君も、
たとえば職人として仕事を学び始めたばかりの君も、
これが自分なのだと胸を張って歩む道を見つけておくれ・・・。


父ちゃんの世代は、それを君らに望むんだ・・・。