打たれにくくなる裏ワザ

その中学生の野球小僧が走る姿を、僕はよく見掛ける。
うんうん、僕だって毎朝歩き、毎晩走っているからね。
そうそう、中学生の野球小僧が走っている姿を見るのもイイものだ。
顔つきがさ、本当に頼もしくなっていてさ、凛々しいからな・・・。


おうおう、家に着いたら早速タオル投げか、格好イイね。
素晴らしいフォームじゃないか。


え?
なになに?
ピンチに弱くてゲームの中では 大事な場面で打たれちゃうってか?


よし、じゃあ通りすがりのオジサンが、特別に秘法を伝授しよう。
言っておくがな、秘宝じゃないぜ、秘法さ。
秘宝はオトナになったら温泉地とかの秘宝舘で見る事が出来るだろうから教えないけど、
これから君に伝授するのは丸秘の方法さ、打たれにくくなる秘密の方法さ・・・。


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それは、笑顔。
あのな、ちょっと笑ってみな。


どれどれ、
ダメだダメだっ!笑顔になってない。
もっと、こう、満面の笑みって感じで笑ってみな・・・。
なんかぎこちないな・・・。


じゃあ、オジサンが変な顔をしよう。
面白いだろ面白いだろ、白目も剥いちゃおっと。
よしよし、イイぞ、その笑顔だ・・・。
その笑顔を一瞬で、どんな苦しいピンチの場面でも出来ちゃう練習をするんだ。


お風呂上りの鏡の前で笑顔の練習をするんだ。


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笑顔になると緊張が解ける。
そんでもって筋肉が柔らかくなる。
しなやかな動きが出来て球が走る走る・・・。


君のお父さんが言う、
体重が軽いから球も軽くて長打を浴びる、は間違いで、
ガチガチのままで放る球は棒球になっちゃうから打たれやすいだけなのさ・・・。


いいかい?
笑顔だ・・・。


笑顔でしなやかに投げて その打者を討ち取れ。
君を、「きんに君2世」と名付けよう・・・。


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「げげっ、何でこの場面でアイツは笑顔?」
「アイツはオカシイんじゃないのか?」
「ヘラヘラするんじゃねえっ!」とか、
たぶん、周囲のオトナどもは言うだろう。


そんな声に屈する事無く、どうか笑顔でピンチを切り抜けられる投手になってくれ・・・。


残念ながら現在のオトナの野球指導者たちは、な、
笑顔と筋肉の相関関係を知らないヒトが多いし倉之助です・・・。


歯を見せろ。
歯を見せてイイんだよ。


白い歯ってイイな、
ホワイト&ホワイト