コーチじゃなくてゴーチだよ。
正確には、ね、コーチじゃなくてゴーチだったんだね。
現代のベートーベンこと、サムラゴーチさんの事さ。


あのゴースト作曲家のヒトもややこしくって、
アラガキさんじゃなくってニイガキさんだったろ?
本当に日本語って難しいよな・・・。
でも、ゴースト作曲家はマジでゴースト(幽霊)みたいな顔だったし、
それはそれで話題性に富んでいたな。


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昔、僕がまだ若く、
いわゆる下請けの職人としてやっていた頃、
とあるジュエリーデザイナーのオッサンから仕事の依頼を受けた事がある。


オッサンの事務所へ赴き、打ち合わせをしていたのだが、
オッサンは傍らにあった外国のジュエリーブランドのカタログを開き、
花のカタチのブローチをクルっとマジックで丸く囲み、
「こんな雰囲気の物をテキト〜に作って頂戴。」と言い、
「裏側とか細かい部分は全てお任せします。」と付け加えたのであった。


僕が作った物を、オッサンのアシスタントである女の子がデザインではなくデッサンして絵に描き、
それを春の宝飾展に新作としてオッサンは出品していた。


アシスタントの女の子に聞いたのだけれど、
実はオッサンは絵も描いた事はないのだそうだ・・・。


そのオッサンが自身のパンフレットに印刷していたキャッチフレーズが、さ、
〜美の世界を旅するデザイナー〜だったのさ。


今思えば、
オッサンはサムラゴーチシステムを確立した先駆者だったのかもしれないな・・・。


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一方、
サムラゴーチさんは髪を切り髭を剃って謝罪会見に臨んだ。
懸命に演出していたのであろうアーティスティックな雰囲気は消えていて、
なんだか市役所の誠実なヒトみたいな感じにさえ見えた。


髪を切り髭を剃ったサムラゴーチさんは、
僕に似ていなかったのでホッとした。
ピエール瀧さんにも似ていなかったので良かった。
これでめでたしめでたしとしよう・・・。


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ジュゲムジュゲム ゴコウノスリキリ
サムラゴ〜チ ブラゴ〜チ
チョンチョコリン ノ チョンチョコナ〜
チョウスケ