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実習の最終日、
息子は、子供たちから貰ったお手紙を携えて帰宅した。
とても嬉しそうな顔をしていた。
浪人時代よりも遥かに厳しく難しい日々の勉強に励み、
夢である医師への険しい道を歩む中で貰った手紙は、
息子にとって一生の宝物になるのだろうな・・・。
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アンパンマンのような小児科の医師は、
その生涯に於いて何通の手紙を子供たちから貰うのだろう。
誰もがきっと、その手紙を大切に大切に持ち続けている事だろうな・・・。
何と素晴らしい報酬だろう。
何と素晴らしい仕事だろう。
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病気や事故や怪我は、理不尽なものだ。
ましてや小さな子供たちのそれは、一際理不尽だ。
理不尽に怒り、理不尽と戦う仕事。
子供たちの命を救う仕事。
その子供が生きるべき未来を救う仕事。
割に合わない仕事だと人は言うが、
割を考える人間なんて医師にはなれても医者にはなれまい。
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「オレは医者になっても金持ちにはならないよ。」
そう語る二十歳の息子を僕は頼もしく思う・・・。