新座市のあたごに、「 エーゼット 」って名前のお店があった。
懐かしいな、僕は中学1年生で、13歳であった。
「 エーゼット 」は今で言うところのアウトレット商材を扱うジーパン屋さんであったのだが、
皮ジャンやブーツ、そして米軍放出の小物類もたくさんあったんだ。


面白いオジサンが一人で経営していてさ、買わない(買えない)のだけれど僕は常連客であった。
考えてみると、現在も続く僕の皮ジャン&ブーツ好きの原点は、そこだ。
たまにジーパンを1本買うとオマケにジーパンを2本くれたり、
ただ遊びに来ただけの日でもコーヒーを飲ませてくれたりヤキトリの出前をとってくれたり、
とにかく気前の良いオジサンであった。


「 いつかキミをジープ乗りに育てたい。 」がオジサンの口癖で、
オジサンの所有するジープの横に乗せてもらったりもした。
ベース車両は三菱製ジープだが、外装は完全にアメリカ軍のウイリスに交換された物だった。
オジサンは子供の頃、ギブミ〜チョコレ〜ト!って言って、こんなジープに群がったのだそうだ。


戦争の愚かさや、
敗戦の日を境に言う事がコロリと変わったオトナたちのズルさや、
チョコレートやキャラメルやコカ・コーラの美味しさや、
悲しかったけれど子供たちはしたたかで強かったって話を聞いた。


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とにかく気前が良すぎてな、「 エーゼット 」は僅か数年で閉店した。


映画、「 アメリカンスナイパー 」が話題になっている。
この映画は是非とも観るべきだ。


アメリカンスナイパー 」とジーパン屋さんの「 エーゼット 」の繋がりって、
上手く僕には説明出来ないのだけれどさ、
かつて映画の中の中東の街のような光景が日本にもあって、
戦争で悲しい想いや辛い思いをした子供たちがたくさんいたって事だ。


50歳近くになった僕らが子供だった頃には、
こうして戦争の愚かさを自身の経験から語ってくれる大人たちがいたが、
これからの時代はどうなのだろうかって考える時に、
そうだね、こんな映画から学んでほしいよね、子供たちには。


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暑いのも寒いのも嫌な僕はジープ乗りにはならなかったけれど、
皮ジャンとブーツが好きな大人にはなった。


戦争を毛嫌いする大人になった。