幼稚園バスが停まり、「 サヨウナラ 」と元気な挨拶の声がする。
弾むように歩く息子と手をつないだ義母が、ゆっくりと我が家の前の坂道を降りてくる・・・。
もう17年も前の日常の光景なのだけれど、そんな姿はまるで昨日の事のようだ。


義母には、ありがとうを百万遍言っても足りない。


当時、既に義母は高齢であったのだが、
ナースであるカミさんが日勤の日は、我が家に来て子供たちの傍にいてくれたのだ。
「 おばあちゃんがいてくれたから、寂しくなんてなかった。 」
大人になった子供たちの心の中に、義母の大らかさや優しさが根付いている事が僕は本当に嬉しい。


義母には、ありがとうを百万遍言っても足りない。


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距離があるため二週間に一度のペースとなってしまって申し訳ないのだが、
僕はカミさんと義母に会いに行く。


会って僕は必ず ありがとう を言うのだけれど、
百万遍言っても足りない ありがとう なのだから遠く及ばない。


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施設の介護の職員さんの献身的な働きぶりに頭が下がる。
働く(はたらく)とは、傍の人を楽にさせる事なのだと一番感じさせてくれる働きぶりだ。
義母の日常の暮らしぶりを話して下さる表情が優しい・・・。


介護の現場で働く人たちの優しさが本当に報われる社会になりますようにと願う。


その人たちにもまた、ありがとうは百万遍言っても足りない。


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カミさんは義母の手をさする。
「 見て見て、シワシワ〜。 」なんて言って笑ってはいるけれど、
ありがとう の込められた優しいさすり方だと見て分る・・・。


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一つの人生の中で、
一人の人が口に出す ありがとう は何回位なのだろうか?


少しでも多く ありがとう と言える生き方をしたいものだな・・・。


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ギンナンを踏んでしまって靴が臭い。


でも、ありがとう だ。