幼馴染みのKくんと偶然に逢った。
しかも浅草橋の駅前で、だ。
Kくんは 秀じい の宝くじ売り場に並んでいた。


それにしてもスゴイ確率の偶然じゃないかと思う。
僕も一緒に宝くじを買おうかな・・・。
え?
横入りになっちゃうって?
二人で最後尾に並びなおそうって?
じゃあ、僕は買うのはやめておこう・・・。


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〜 あれは僕らが小学校2年生だった夏 〜


Kくんと僕は城山公園(所沢)の山の中でクワガタ捕りをしていた。


順調に虫捕りをしていた時、
僕の右手が木の洞(ウロ)から抜けなくなった。
シャツも小枝に引っ掛かってしまい、どうあがいても抜けなかった。
Kくんにも引っ張ってもらったのだが、イテテテテとなるだけで抜けなかった。


「 どうしよう・・・。 」とKくんが言うので、
誰かオトナの人を呼んで来てと僕は頼んだ・・・。


随分と長く待たされて、
Kくんが連れて来たのは、僕のオフクロであった。
城山公園から旭が丘団地の僕の家まで行く間に、
オトナの人は他にもたくさんいただろうに・・・。


なんて間抜けなヤツだろうかと、
片手が木から抜けなくなった もっと間抜けな状態の僕は思った。


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そんな間抜けだったKくんは現在、
名の通った会社の部長職にある。
さぞかし裕福だろうと拝察するのだが、
それでも宝くじを買うのだな・・・。


わっはっは。
コドモの時の顔の面影が一番残っているのは、
幼馴染みの中ではKくんだ。


典型的なオッチョコチョイの顔だ。


え?
僕も同じってか?


50歳になるのに・・・。