18歳で僕が職人の道へと入った時、
給料は5万円だった・・・。
まあな、見習いだったからさ、貰えるだけありがたいとも言えるが、
一方で人を馬鹿にしている金額だよなとも思っていた。


新社会人の初任給が幾らなのかといった話題にふれる度、
そんな頃の自分を思い出して胸が切なくなったりもする・・・。


とにかく一日でも早く仕事を覚えて、
一日でも早くそこを辞めようと決意するにふさわしい金額であった事は確かだ。
すぐに辞めちゃうのではなく、
仕事を覚えて辞めちゃえば僕の勝ちだと思った。


職人の世界では現在もなお、そんな程度の金額で若者を雇うのだと聞いた。
まったくひでえなと思う・・・。
もっと手厚くソイツを雇い入れて技術を叩き込んであげればさ、
一人前になった時にはきっと会社の大きな戦力になるだろうに・・・。


最初は安い金額だけれど、
いろいろな現場でそれぞれの技術を習得して、
その職種に於ける様々な技を身に着けて独立する。
「 食えるようになるには最低10年。 」だなんて言われていたのだけれど、
僕は23歳で独立をした。


死に物狂いの5年間であった・・・。


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普通に大学を出て就職をして、初任給が20万。
それは、とても恵まれています。
恵まれ過ぎって言ってもいい・・・。
不足を絶対に口に出してはダメだよ・・・。


同じ年代の中卒や高卒の、
本気で職人として大成しようとしているヤツは今頃、
死に物狂いで腕を磨いているところです・・・。


30歳になった時、
40歳になった時、
50歳になった時、
60歳になった時、
笑って生きていられるかどうかが一番大切な事なんです・・・。


足の長い格好良いスーツ姿の新社会人の君に、
そんな言葉のボールを全力で投げつけてみようと思う。


「 食えるようになるまで最低10年。 」だなんて古臭い事は言わない。
半分の5年でいい。
その5年を死に物狂いで仕事と向き合ってごらん・・・。


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な〜んて話を若い人にするようになっちまったらオシマイだな・・・。


いかんいかん・・・。