何故に僕が大昔の自分の、給料5万円の話をしたのかというと、
現在のアニメーターを志す若者たちの惨状を聞いたからなのであった。
まったくなあ、ヒドイ話じゃないかと思う。
クールジャパンだなんて声高らかに謳うのであれば、もっと彼らの待遇を改善しなくちゃイカンね。
まったくイカンに感じちゃうよ。


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でもな、
その一方で僕は、
大昔の給料5万円だった時代を思い出し、
それからの道程を振り返り辿りつつ、
それがあったから現在の自分が在るのだと考えるとだな、
イカンのは僕ではなかったのかとも思えるのであった。


立場を逆にしてみてごらんよ、
ハッキリ言って何も出来ない何も知らないほぼ高校生みたいなヤツに、
月々5万円の小遣いをくれて、秘伝の技術を教えてくれる親切な会社だったんだぞ・・・。
教えてくれた職人の先輩は、教えてくれている間、手を休めちゃっていたんだぞ・・・。
ベテランの職人が手を休めていた時間を考えると、会社にとってはかなりの損失だったのではあるまいか?
しかも、だ、
ソイツは仕事を覚えた途端に辞めちゃったんだぞ・・・。
はらわたが煮えくり返るような想いを、当時の会社の人たちはしたに違いない・・・。


悪いヤツだな〜、
まったくもってけしからん悪いヤツだな〜。
ソイツ、誰だ?
はっ!・・・僕だ・・・。


申し訳ありませんでしたと謝りたいのだけれど、
一昨年の消費増税後のこの大不況で会社は無くなってしまっていたのだ。
会社を御徒町から深川方面へ移転して、
最後は社長と息子さんの二人だけで頑張っていたのだと人伝に聞き、
本当に本当に胸が痛んだ・・・。


謝りたいけれど謝る先がない。
これを 負い目 と呼ぶのではないか・・・。


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いくつもいくつも負い目がある。


負い目なんぞ作りたくないのだけれど、人生。


50歳にもなるのに・・・。


三歩あるいて忘れる。