子供の頃に僕は、
タイガー・ジェット・シンに追いかけられて転んだ事がある。
恐かったぞ、本当に恐くて泣き叫んだんだぞ。


今にして思えば、シンにとってみればそれはパフォーマンスで、
観客席の子供たちに向けてサーベルを振りかざして、
「 ウォ〜ッ! 」と驚かせただけなのだろうけれど、
何人かの僕と同じ気の小さな子供は逃げ出して、勝手に転んだだけの話だ。


でもな、恐かったぞ。
試合の度にシンは、必ず何人かを串刺しにするのだと聞いていたからな・・・。


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シンの真の姿は物静かな紳士で、
人一倍心根の優しい好漢だと知ったのは大人になってからだ。


でもな、あの時の恐怖が拭えなくて、さ、
僕がプロレスや各種格闘技に疎いのはそのためだ・・・。


あの時、
僕のように泣いて逃げた子供たちがいる一方、
ワァ〜っと歓声を上げて喜んだ子供たちもいた。


その喜んだ子供たちが、
現在のプロレス大好きオジサンになっているのでしょうな。


初めて観に行ったプロ野球で得た感動と、
初めて観に行ったプロレスでの恐怖は、僕にとってギャップがあり過ぎましたな。


「 初めてなの、やさしくしてネ。 」は、


どんな世界でも大切な事なのではないでしょうか・・・。


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にんげんだもの