指輪物語1

過日、義兄夫婦から義姉の婚約指輪を預かった。
この指輪の石を使い、姪っ子アミちゃんの婚約指輪を作るためだ。
母親から娘へ、
何て素敵な贈り物なのだろうかと思う・・・。


実は義姉の婚約指輪は28年前、
義兄に頼まれ僕が作った物だ。
僕とカミさんは未だ結婚していなかったが、
妹の彼氏が職人だからと、あえて依頼してくれた物なのだ。
つまり僕にとってもまた、この指輪は思い出深い物なのである。


うんうん、うんうん、懐かしいな、涙が出ちゃうほど懐かしいな。
なにしろホレホレ、
兄貴の給料3か月分を目一杯使って作ったんだから豪華絢爛な指輪だ。


22歳の時の僕が作った。
今の僕からみればところどころ気になる箇所もあるが、
ああ、僕もこうして一生懸命を繰り返してここまで来たのだと感慨深かった。


いわゆる昔の立て爪の婚約指輪だよ、時代を感じる。
立て爪の指輪は今見るとまるで武器のようで普段使い出来ないからね、
箪笥の肥やしになっていたので状態はすこぶる良い。


ついこの間のような気がするけれど28年も経っているんだ。
28年を経てのリフォームだ。
まるで大工さんのようでしょ?


この石を使い、
地金を溶かして再利用して、
新しい指輪をまた僕が作る。


・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・


デザインはアミちゃんと打ち合わせ済みだ。
結婚する時には叔父さんが指輪を作るっていう約束を果たす時が来た。


人生はシアワセな時間の積み重ねだ。


感謝をしながら生きなければ早く過ぎ去ってしまうものだ。


指輪を通じてアミちゃんに何かを伝えられたらいいな。
そう願いながら製作開始。