赤羽のあたりからずっと、混み気味の環状八号線を、
一台の黒いアウディが乱暴な運転をしていた・・・。
前を走る車にピタッと付いて煽ったり、
いきなり車線変更をしてスピードを上げてみたりして、
それはそれは危険極まりない運転であった・・・。


練馬北町陸橋を越えた後の信号はちょうど黄色から赤になるところであったのだが、
件の黒いアウディは一旦は躊躇したかに見えたものの、そのまま赤信号を直進した。
危ないよ、危ないよ、
もしもフライング気味で走り始めた車が横から出てきたらぶつかってしまうようなタイミングだった・・・。


その瞬間ですよ、
その瞬間、白バイのウィ〜ン!という一声のサイレンが轟いたのだ。
あの音は、いつ聞いても本当にドキッとしますな、たとえ無関係であっても・・・。


「 右、走ります、右、走ります。 」って、
スピーカーから聞こえる白バイおまわりさんの声が鶴太郎さんに似ていて、
「 飛びます 飛びます。 」みたいに聞こえて多少ズッコケそうになったが、
それでも白バイおまわりさんはグッジョブ、いい仕事をした・・・。


あ〜んなに乱暴な運転をしていたのに、
ものすご〜く他車の迷惑になっていたアウトロー気取りだったのに、
黒いアウディは白く従順な仔羊のように素直にハザードランプを点滅させて停車した。
アウトロー気取りの人と、本物のアウトローの違いを、僕はそこに感じた。
もはやこの国には、本物のアウトローは存在しないのかもよ・・・。


信号が青に変わり、走り始めた僕ら他車は、
そのアウディの横を通り過ぎる際にみんな減速をしてシゲシゲとアウディの運転者の顔を見ていた・・・。
もちろん僕も見た。
どんな極悪非道なアウトレイジチックな顔をしているのだろうと想像しつつ見たのだけれど、
それはそれは普通の、どこにでもいそうな路傍の石のような、マジメそうな男性だった・・・。
安全運転でお馴染みの僕の方がよっぽど人相が悪いぞ・・・。


マジメそうだけれど、たぶん免停、残念、斬りっ!


ハンドルを握ると性格が変わっちゃう人。
なのかもしれない・・・。


黒いセダンタイプの恰好いいアウディが泣いているように見えた。
高級車のハンドルを握る資格無し、かもよ・・・。


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自動車運転免許って、
あまりにも簡単に取得出来てしまう免許皆伝・・・。
その弊害があまりにも大きいんじゃないだろうかと僕は最近より強くそれを思うようになった・・・。


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連休中の大きな道路。
家族連れの車もたくさん走っている。
小さな子供も車の中にいたりする。


絶対に危険な運転はダメよ。