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僕な、
そうよ、そうそう、
足だけは異常に速かったんだよ、子供の頃から。
弱くて、臆病で、怖がりだからだと思うんだよ、
他は一切ダメな子供だったが、足だけは速かった。
たぶん、逃げ足だったのだと思う。
徒競走でもな、ホレホレ、
あのピストルの音が怖くて恐ろしくてな、
パ〜ン!って鳴ると同時に夢中で逃げただけだったんだ。
低学年の時、
1着なのに泣いていたのはそのためなのよ。
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・
なあ、おい、
僕に何か文句を言いたいムンクの叫び的な人よ、
アナタが僕に文句を言おうとしてもだな、
僕はもうそこにはいませんよ〜だ。
千の風になって、
遥か遠くまで走って逃げた後です。
陸上部とかに入っていたとしたら、
昭和のキリュウヨシヒデと呼ばれていたかもしれません。
かもよ。