一隅を照らす。
またラジオからの話題で甚だ恐縮だけれど。
東京の下町、昔からの趣きと人情が残る谷中。この3月に定年を迎える警察官のSさん。
38年間に渡り、駐在さんとして町の人々と共に生きた。
小学校の子供たちが行った、Sさんを送る会。
子供たちがSさんに送った文集の中、心温まる作文がいくつも紹介されていた。
Sさんを含めた町の人々の絆を思う。駐在さんの誠実さと子供たちの純粋さ。見守る大人たちの暖かさ。
「子供たちの心は習字の半紙のようです。」とSさんは言う。
大人の一言を、真っ白な半紙のような心は吸う。
どのような形であれ、子供たちと接する大人たちに対しての示唆にあふれていた。
初めから刑事でも白バイ隊員でもなく、駐在さんを志したというSさん。自らも町の中で父、そして夫として、家族で過ごした。町を愛してきた。
一隅を照らす。とても真摯な生き方だった。

4月、彼にとっては谷中で39回目の桜。
Sさんはどんな想いで見つめるだろう。
おつかれさまでした。