わんっ!ダフル

久しぶりにケイちゃんに会った。
桜がきれいな黒目川沿いの遊歩道をおじいちゃんと一緒に散歩していた。
ピンクレディーのケイちゃんだと思った人?おお!結構いますね。同年代ですな)
ケイちゃんは白くて大きな雑種(我々犬好きはミックスと呼ぶ)の犬。女の子。なかなかの美人。


2年ほど前の夏休み。
遊歩道に面した芝生で、友達とキャッチボールをしていたハヤトが見つけて連れて帰ってきた。
「お父さん、迷子みたい。この犬。保健所に捕まっちゃったらかわいそうだから連れてきた。」
ハヤトの隣に、申し訳なさそうな顔をして、大きな犬が立っていた。
首輪は付いている。だが鑑札は外れている。犬をひっくり返す、おー!女の子かぁ!ごめんね、恥ずかしいね。
毛並みはきれい、よく手入れされている。歯もきれい。歯茎もきれい。大きいけれど、まだ幼いみたいだ。
家に入れてあげたいけれど、我が家には次男、三男の位置づけでガサツなオス犬が2匹。過ちがあったら大変だ。彼女の親御さんに会わす顔がない。かわいそうだけれど庭に繋いだ。


ドッグフードと水を与えた。すごい食欲。よっぽどお腹が空いていたみたい。「あなたのおうちはどこですか?」
ニコニコ笑って僕の顔をじーっと見ている。よせよ、照れるぜ。なんちゃって。
(犬には表情があります。ほんとにニコニコ笑ってたんだってば!)


夜は僕の仕事場へ入れた。
いろいろと手を尽くして飼い主を探した。けれど手掛かりなし。
借りてきた猫(犬だけど)みたいにおとなしくて、遠慮しているのが解る。
なんだか情が移っちゃったぞ。可愛くなっちゃったぞ状態だった僕。
夜中、様子を見る。シクシク泣いていた。(ほんとなんだってば!)
思わず抱きしめてしまった。
「泣くな!おじさんちの子になれ」
2匹も3匹も大して変わらないだろう・・・・・・・。
「君の名前はもう考えてある、アンジェリーナだ。・・・おやすみ、アンジー。」
(ワシはロマンチックな親父だ)


5日目の朝、ラジオ体操に出掛けたハヤトが遊歩道の植え込みの中に、犬の鑑札を発見。


事態は急展開。新座に住んでいる一人暮らしのおじいさんが飼い主だった。
再会の場面は感動的だった。
おじいさんの顔を見たアンジェリーナは飛び跳ねて吠えた。初めて吠えた。
そして、おじいさんに抱きついた。おお!アンジェリーナ!ワシが名付けたアンジェリーナ!
おじいさんが叫ぶ!
「ケイコーっ!会いたかったぞ!」


ケイコ・・・・・?アンジーのほうがいいのになぁ。


そして今日。久しぶりに会ったケイちゃん・・・・・。しゃがむと僕の顔をペロペロ。
「その節はありがとうございました」って顔をしていた。
(犬は表情があります。ほんとなんだってば!)


またね・・・・・元気でね。ううっ、ワシのアンジェリーナ。