ヤキトリ論

右肘にギプスを着けたばかりの息子と一緒に、治療の帰り道、ヤキトリを食べたのが随分と昔に感じる。
時間が経つのが早い。
先日そのヤキトリ屋さんが店じまいをした。幸町の事情に詳しいシュー太の親父さんに聞くと、ご主人の介護のためにお店を閉めたらしい。おいしいヤキトリ屋さんだったので残念。
おばさんが店先で串に刺していた。大きいのに1本70円。焼き方も上手で良心的なお店だった。
息子も僕も「また食べたいね」と話していたので本当に残念。長い間ご苦労さまでした。


ヤキトリ論をぶちまいちゃうぞ!
その1。豚であるべし!
いいだろうか?心静かに耳を傾けてほしい。「焼き鳥」ならば鳥でいい。ワシは何も言わん。だが「ヤキトリ」なら豚だ!徹底的に豚にこだわっていたい。くれぐれも「ヤキとん」などと言ってはならニャい。
その2。心に基準を持とう!
譲れないラインを持とう。ワシはヤキトリの師、「東松山千春」さんに焼いてもらったカシラを基準にしている。言うなれば「味の標準木」だ。美味しい、マズいの判断のために。・・・自分を信じよう。
その3。セオリーを知ろう。
初めての店では必ずこのセオリーを守ってほしい。1本ずつ頼む。この時点で店の親父に嫌な顔をされたら怒ろう。人間たる者、怒りを忘れたらだめだ!最初の1本は「塩でカシラ」だ。カシラ肉をしっかりと焼ける技量を、親父は持っているか、だ。
焼き過ぎると縮む。火が通っていないと油でグッシャリとしてしまう。焼き手の技量こそヤキトリの命だ。
次に「タレでタン」を頼もう。タンは味が染みにくい。そこをどう親父がクリアしているのか。タレそのものがしっかりと熟成されているだろうか?を知る為に。合格だったらその時初めて席に落ち着こう。
まとめて注文するのはそれからだ。お好みで必ず3本づつ頼もう。ちなみにワシはいつもこうだ。
「すいません!タン、ハツ、カシラを塩で3本づつ!」その次にはこうだ。
「タンとナンコツ、塩で3本づつ!」ここまで来たら我々の勝ちだと言っていいだろう。勢いに乗るべきだ。
ガツ、コブクロ・・・・・ここまでたどり着いたら完全試合達成だね。
タレで食べるのはレバーとシロモツだけでいい。
BGMに「舟歌」なんかが有線で流れていたら泣けてくるだろう・・・・・・。
酒など飲まなくても自分に酔えるはずだ・・・・・ありり?


命を賭けてヤキトリを焼くプロのいる店ならワシに聞いてほしい。
日を改めて何軒かここで紹介しよう。


幸町の、あのお店。
息子と2人でカシラを食べた・・・・・・。
本当に美味しかった。
店舗部分はすでに取り壊されてしまった。


おばさん、おいしいヤキトリをありがとう。
長い間・・・・ご苦労さまでした。
おでんも食べれば良かった。