坊主めくり第2章

hayatonooyaji2005-05-01

ズボラなワシ、髪の毛と髭が大変な状況になっていた。
常識ある社会人としては、そろそろ限界と言っていいだろう。・・・・・・床屋さんに行かなくっちゃ!
6ミリでお願いしようと決めていた。以前短くされてしまった時、バリカンの刃は3ミリだった。同じ轍は踏むまい。人間は学習する生物だ。


件の床屋さんへ行く。
ワシの前を3歳位の男の子とお母さんが歩いていた。予感が当たる。この人たちも床屋さんに来たのだった。
店の前で、ほぼ一緒になる。
「先、どうぞ。」こんな時は譲る。それがワシのポリシーだ。ソウル(魂)だ。
「はい、ありがとうございます。」感じのいいお母さんだった。


「いらっしゃいませ!」ワシらは3人でお店に入った。
順番待ちの間、その男の子はワシの隣に座った。ワシは「少年マガジン」を読んでいた。(床屋さんでは必ずマガジンを読む。釣りキチ三平が連載されていた頃からの習慣マガジン・・ナンチャって)


「お母さんちょっと買い物してくるね。すぐ戻るからね。」と言い残してお母さんは店を出ていった。
おー!チビくん、偉いぞ!・・・男の子は母親を見つめて力強くうなずいた。
「次の方、どうぞ。」と、おばさんが呼びに来た。
「この子を先にお願いします。」と、ワシは言った。親切でやさしいなー。ワシって親父は。


再びマガジンを読んでいると、おばさんがワシの方へ来た。
「今日は、どうなさいます?」と聞かれた。
「スポーツ刈りにしてください。バリカン6ミリで。」ほーれ、きちんと言えたぞ!6ミリって。


あれ?ワシの順番じゃないのか・・・・・・・・。
?・・。もう一度座りなおしてマガジンを読んでいた。


そこへチビくんのお母さんが戻ってきた。いきなり素っ頓狂な声を上げる。
「きゃあ!」・・・・まるでムンクの叫びのようだった。


えっ?ワシもびっくりして顔を上げた。見ると,おかっぱ頭だったチビくんがスポーツ刈りになっている!
しかもバリカン6ミリで・・・・・・・・。なんでだろう?


「えっ?だってお父さんに聞きました・・・・・・・」おばさんがワシを見る。
ワシらを親子だと勘違いしていたのだ。
違います。僕の息子は6年生、ハヤトだけですっ!
しかし、このお母さんは立派だった。
大きな声で笑いだした。


え?ワシ?・・・・。悪いのはワシか?


でもねー。チビくん。スポーツ刈り(6ミリ)似合うぞ!・・・・・うん。カッコいい。

おじさんとお揃いだね。

よじっ!