ねえちゃんズ

夕方の練習へハヤトは出掛ける。
リュックには水筒とタオル。バットを担いで自転車にまたがる。
真剣な顔。
ワシは見送りに出たところ。いいか、もう無理な練習はするな。
夜、ひとりでやっている練習だけで充分だ。
それでも息子は出掛ける。
おおっ!親子の葛藤だ!
こうして少しずつ気難しくなるのかな?笑っちゃうニャ〜。


その時である!
遊歩道から声が聞こえた。


「キャー!ハヤトくぅーん!」
「ハヤトくーん!おーい!ぎゃっはっは!」
「こっち向いて〜!」
「ハヤト!返事しなさーい!」


娘とその一味だ。クル中テニ部ス(二年)のギャルたちである。
声の大きい子ばっかりだ。
シャイなハヤト。照れている!いっちょまえに!
典型的な弟の宿命である。
かわいそうだけれど、ワシも笑っちゃう。へっへっへーだ!


「おーい!おーい!」
「ぎゃっはっは!」


総勢6名。お年頃の女の子たちである。
1人でもうるさいのに6人である。想像を絶するカシマシさだ!


気の毒にハヤトは、耳の裏まで真っ赤になって下を向いている。


「おい!返事してあげなさい。」
ワシもけっこう面白がっている。うひょひょ。


「お〜いっ!返事しろー!」娘の声が響き渡る・・・・・・。


ハヤトは後ろを向いたまま左手を上げて・・・・・
「やあ。」と言った。
ワシは心の中で大爆笑をした。


勘違いしないでほしい。娘とハヤトは本当に仲がよい。


「きゃー!オジサーン!こんにちは〜!」
お、おう!コンニチハ!
え?ワシにはそれだけかい?


寄り道しないで早く帰りたまえ!