ぎりぎりセーフ!
仕事の打ち合わせのため、朝から都心へ行く。
さすがに金曜日だけあって、道路は混んでいた。
帰り道、ものすごい苦しみと闘った。自分との闘いだったのさ。
オフィス街の幹線道路、うんざりするほどの渋滞だった。
得意先にてコーヒーを飲みすぎてしまった。う〜ん・・・道は遠いがトイレは近い・・・。もよおしてきた・・・。
便意なり。ものすごい便意なり。王様レベルの便意なり。
ベン・E・キング・・・・ナンチャッテ。
シャレを言っている場合ではない。・・・痛い。
不屈の男も腹痛には弱い。
さて、どうしよう・・・・同志よ!
きちんと駐車場のあるコンビニも見当たらない・・・。
わき道を入り、住宅地の中をグルグル・・・。
僕のお腹もグルグル・・・。
苦しいニャ〜。だが、この苦しみを乗り越えた所にヨロコビがあるはずだ・・・。
が〜んばろ〜う!・・・突き上げる空に・・・・。ってか?
額に脂汗をうかべて車を走らせた。走れメロス!僕はもうメロメロだ・・・・。
この状況を危機と呼ぶのだ。
危機管理能力が著しく欠乏している自分自身の生き様を責めた・・・。身をよじりながら・・・。
ダメだっ!苦しいっ!
もう限界か?
何度も何度も激しい波が襲い来る!
耐え切れない!
僕はこんなにも弱い人間だったのか!
苦しい!う〜ん!苦しい!
・・・涙が出そうだ!涙は心の汗だ!脂汗だっ!
「あきらめちまえよ・・・フフッ・・・楽になるぜ」
心の中の悪魔が僕にささやく・・・。
意識が遠のく、その刹那・・・。
おおっ!おおーっ!公園を発見!
小奇麗な公衆トイレが見える!
助かった!神よ!・・・・おっと!紙だ!紙!
ティッシュの箱を持って僕は本塁に突入!・・・セーフ!
このヨロコビを表現し得る言葉を僕は持っていない。
ただ、「正露丸」のCMの、ラッパの音のメロディーを口ずさんでいた。
タッタララッタ タッタララッタ ターリラーリラ〜
そうだ。常に備えよ。野球小僧たちよ・・・。
リュックの中に「正露丸」は入ってる?
そうかそうか、オッケー!ナイス選!
タッタララッタ タッタララッタ ターリラーリラ〜
ふう。